日本に住むフィリピン人の家族にとって、法律や家族構成の問題を乗り越えて、母国の子供を日本に呼び寄せたいという希望は重要な課題です。本記事では、母親がフィリピンで初婚の夫(外国籍)との離婚が成立していない状況で、前夫との間に生まれた21歳の息子を日本に呼び寄せる方法について、在留資格取得のプロセスと養子縁組が難しい理由を解説します。
現状の整理
• 妻の初婚:フィリピンで外国籍の男性と結婚。ただし、離婚が成立していない(フィリピンは離婚制度がないため)。
• 現在の状況:日本で相談者(依頼者)と事実婚関係にあり、一人の子供がいる。
• 呼び寄せ対象:前夫との間に生まれた21歳の息子。
このような状況で、21歳の息子を日本に呼び寄せるための在留資格取得方法に加え、養子縁組による解決が難しい理由について詳しく説明します。
21歳の息子の在留資格取得に向けた手続き
1. 在留資格の種類の検討
21歳の息子が日本に滞在するための在留資格として、以下が検討されます:
1. 「定住者」ビザ
息子が母親との親子関係を理由に「定住者」資格を取得できる可能性があります。この資格は、特別な事情が認められる場合に発給され、日本での長期滞在が可能です。
2. 「特定活動」ビザ
特別な事情がある場合に、法務省の裁量で発給されるビザです。母親の在留状況や息子の扶養が必要な理由を丁寧に説明することで認められる場合があります。
2. 親子関係を証明する書類の準備
在留資格申請の際には、以下の書類を揃える必要があります:
• 息子の出生証明書(フィリピン政府発行、日本語翻訳添付)
• 母親の婚姻証明書(フィリピンでの初婚状況を証明)
• 経済支援を証明する書類(母親または相談者の収入証明、納税証明書)
3. フィリピンの法律に基づく婚姻状況の確認
フィリピンは離婚制度がないため、母親が法律上は初婚の夫と婚姻関係にあることが、日本での在留資格申請や養子縁組に影響を及ぼす可能性があります。この点を明確にしておく必要があります。
4. 経済的支援の証明
息子が日本で生活するために必要な経済的支援を証明するため、以下の資料を提出します:
• 収入証明書(相談者や母親の源泉徴収票)
• 住居に関する情報(日本で息子が住む予定の場所)
養子縁組が難しい理由
21歳の息子を呼び寄せる手段として「養子縁組」を検討する場合がありますが、以下の理由により、この方法は現実的に難しいといえます。
1. 成人年齢に達しているため
日本の民法では、20歳以上の成人との養子縁組は原則可能ですが、これは通常、親子関係の法的補強を目的とするものであり、在留資格取得のためだけに養子縁組を行うことは認められません。入国管理局も、この点を厳しく審査します。
2. フィリピンの婚姻制度が影響するため
母親が初婚の夫との婚姻関係を解消できていないため、フィリピン法に基づき、息子の法的親権に関する問題が複雑化する可能性があります。
たとえば、フィリピン法では初婚の夫も息子の法的な親権者とみなされるため、養子縁組を進めるためには初婚の夫からの同意が必要になる場合があります。
3. 在留資格取得のための養子縁組は認められない
さ日本の入国管理局では、「在留資格取得を目的とする養子縁組」を認めていません。そのため、息子を養子縁組することで「定住者」ビザやその他の在留資格を得ることは困難です。
4. 家庭裁判所での手続きが複雑
養子縁組を行うには家庭裁判所での許可が必要ですが、21歳の息子が独立しているとみなされる場合、扶養の必要性が認められにくく、許可が下りない可能性があります。
手続きの注意点と解決策
• 親子関係を強調する申請書の作成
息子が母親の扶養を必要とする状況を具体的に説明し、在留資格認定証明書交付申請を行うことが重要です。
• フィリピンの法的状況を理解する
フィリピンの婚姻法や親権に基づき、問題が発生しそうな箇所を事前に整理します。
• 専門家への相談
養子縁組や在留資格に関する問題は非常に複雑なため、行政書士や弁護士といった専門家の助言を受けることを強くお勧めします。
亀田行政書士事務所がお手伝いできること
当事務所では、家族呼び寄せや複雑な在留資格申請のサポートを提供しています。特に、フィリピン特有の法律や事情に対応し、適切な解決策を提案します。
• 書類作成および入管局への申請代行
• フィリピンの婚姻状況や養子縁組に関する課題の整理
• 在留資格取得を目指した戦略的サポート
家族を日本に呼び寄せたい方は、ぜひ亀田行政書士事務所にご相談ください!