亀田行政書士事務所のブログへようこそ!今回は、農業簿記において重要な「農業経営基盤強化準備金」の取り扱いについて、具体的な仕分け例を通じて解説します。これから農業経営を行う方や、簿記の理解を深めたい方の参考になれば幸いです。
1. 経営所得安定対策による交付金の受領
農業経営における所得安定策として、経営所得安定対策による交付金が支給されます。この受領時の仕分けは以下の通りです。
• 仕分け
借方
↘普通預金(資産)1,000,000円
貸方
作付助成収入(収益)1,000,000円
イメージ: 普通預金が増加し、収入として計上されます。
2. 農業経営基盤強化準備金への繰り入れ
交付金の一部を農業経営基盤強化準備金として繰り入れる際の仕分けは以下のようになります。
• 仕分け
借方
農業経営基盤強化準備金繰入(費用)1,000,000円
貸方
↖農業経営基盤強化準備金(負債)1,000,000円↙
前仕訳の借方普通預金である資産を負債に付け替えています
イメージ: 普通預金が減少し、負債としての準備金が増加します。資産が減少し、負債が増加するイメージです。普通預金を準備金として付け替える感じで、準備金は、買掛金や、前受金としてイメージするとわかりやすいです。
3. 農業経営基盤強化準備金からの取り崩し
今まで積み上げた北農業経営基盤強化準備金からコンバイン購入のために取り崩す場合の仕分けは次の通りです。
• 仕分け:
借方
↗農業経営基盤強化準備金(負債)4,000,000円↘
(前仕訳で積上げていた準備金をマイナスするために、借方計上しています)
貸方
農業経営基盤強化準備金戻入(収益)4,000,000円
イメージ: 農業経営基盤強化準備金の負債が減少し、収益が発生します。前受金が減少し、売り上げが発生するイメージに近いです。次の仕訳で、農業経営基盤強化準備金は普通預金へ付け替えられます
4. コンバインの購入と代金支払い
コンバインを購入する際の仕分けは以下の通りです。
• 仕分け:
借方
機械装置(資産)4,000,000円↘
貸方
↖普通預金(資産)4,000,000円
イメージ: 普通預金から資金が支払われ、資産としてコンバインが増加します。普通預金としての4,000,000円の出所はもちろん農業経営強化準備金です。
5. 圧縮記帳の実施
購入したコンバインに対して圧縮記帳を行う場合の仕分けは次の通りです。
• 仕分け:
借方
固定資産圧縮損(費用)4,000,000円
貸方
↖機械装置(資産)4,000,000円
イメージ: 圧縮記帳によりコンバインの資産価値が減少し、圧縮損が計上されます。資産の費用化です
6.農業経営基盤強化準備金について
1. 概要
• 農業経営基盤強化準備金は、農業経営の規模拡大や改善を目的として、農業者が積み立てた金額を必要経費または損金として参入できる制度です。
• この制度は青色申告を行う農業者が利用可能です。
2. 採用条件
• 対象者
• 青色申告を行う認定農業者または認定新規就農者(いずれも市町村が策定した地域計画で農業を担うものとして位置づけられている必要がある)。
• 認定農業者は、農業経営基盤強化促進法に基づく地域計画で位置づけられていることが条件。
• 地域計画が策定されていない場合は、従来の農地プランに基づき、中心経営体として位置づけられていること。
3. 積立の内容
• 積立金額
• 積立額の上限は、「経営所得安定対策交付金」などの交付金を基礎として算出します。
• 積立てた金額は経費(個人)または損金(法人)として参入可能。
• 目的
• 農業経営改善計画に基づき、以下の取得を目的として積立を行います:
1. 農用地
2. 特定農業機械
3. 農業用固定資産(機械や施設など)
4. 圧縮記帳による処理
• 農業経営基盤強化準備金を使用し、農用地や特定農業機械等を取得した場合:
• 圧縮記帳による税制優遇を受けることが可能です。
• その年または事業年度中に受領した交付金を活用し、該当する資産の取得金額を圧縮できます。
• 取得しない場合の対応
• 計画に記載された農業用固定資産を取得しなかった場合、準備金を圧縮記帳で取り崩すことはできません。
5. 取り崩し期限
• 積み立てた準備金は、積み立てた年度(または事業年度)から7年目の年度または事業年度までに取り崩す必要があります。
• 7年を超えて残った場合、準備金は強制的に取り崩され、損金として計上されます。
6. 注意点
• 利用者は必ず青色申告を行い、計画に沿った利用をすること。
• 記載された農業経営改善計画に従い、計画的に積立金を活用する必要があります。
• 制度の利用や申請手続きについて、地域の農業関係機関や税理士と相談することを推奨します。
注意点
このガイドは農業簿記の一般的な取り扱いについて説明したものですが、税務上の具体的な相談や判断については、顧問税理士に相談することをお勧めします。各自の状況に応じた正確なアドバイスを受けることが重要です。
以上が農業経営基盤強化準備金の取り扱いに関するガイドです。農業経営における簿記の理解が深まることを願っています。質問やご相談がありましたら、亀田行政書士事務所までお気軽にお問い合わせください。