農業用ハウス建設に建設業許可は必要か?

1. こんな疑問はございませんか?

「農業用ハウスの建設に建設業許可は必要なの?」
「ハウス内の電気工事や暖房設備の設置も許可がいるの?」
「許可なしで工事をしたらどうなる?」

農業用ハウスの建設や設備工事を行う際、税込500万円以上の工事では建設業許可が必要になります。しかし、許可が必要な工事の範囲や無許可で施工した場合のリスクを正しく理解していないケースが少なくありません。

2. こんなケースは?

例えば、次のようなケースが考えられます。

✅ 農業法人が補助金を活用して、1,000万円のハウスを建設したが、施工業者に建設業許可がなく、違法工事とみなされた。
✅ ハウス内に暖房設備や電気設備を設置したが、それぞれの工事に必要な電気工事業・管工事業の許可を取得していなかったため、行政指導を受けた。
✅ 建設業許可のない業者が請け負い、後に発覚して契約解除損害賠償に発展した。

知らずに違反すると、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人は1億円以下の罰金)が科される可能性があります。

3. どうすればいいの?

建設業許可が必要な工事

  • 農業用ハウス本体の建設(500万円以上) → とび・土工・コンクリート工事業の許可
  • ハウス内の電気設備工事(電灯・換気扇・環境制御システムなど) → 電気工事業の許可
  • 暖房設備や給排水設備の設置管工事業の許可

建設業許可を取得する方法

  • 経営業務の管理責任者(5年以上の実務経験または補助経験)
  • 専任技術者(資格や実務経験が必要)
  • 500万円以上の財産的要件を満たす
  • 欠格要件に該当しないこと

無許可工事のリスクを回避するには?

  1. 許可のある業者に依頼する
  2. 必要な許可を事前に確認する
  3. 建設業許可の取得を検討する

4. 具体的な事例は?

建設業許可を取得せずに工事を行い、罰則を受けた事例もあります。

🔗 参考事例

  • 農業用ハウスの施工業者が労働者への賃金未払いで送検されたケース詳細はこちら
  • 建設業許可なしで工事を請け負い、行政指導を受けたケース詳細はこちら

5. 建設業許可の概要

電気工事業や管工事業を営む場合、軽微な工事(500万円未満の工事など)を除き、建設業許可を取得する必要があります。
建設業許可には、一般建設業特定建設業があり、下請契約額が4,000万円以上(建築一式工事は6,000万円以上)となる場合は特定建設業の許可が必要になります。

6. 許可取得までのスケジュール

建設業許可の取得には、概ね以下のスケジュールで進みます。

ステップ内容期間
① 事前準備必要要件の確認、必要書類の収集1〜2ヶ月
② 申請書作成申請書や添付書類の作成2週間〜1ヶ月
③ 申請役所へ許可申請を提出即日
④ 審査書類審査、補正指示への対応約1〜2ヶ月
⑤ 許可通知許可証の受領申請後1〜2ヶ月

トータルで2〜4ヶ月程度かかるのが一般的です。

7. 許可取得にかかる費用

許可取得には、申請手数料+行政書士報酬(依頼する場合)+その他諸費用がかかります。

項目費用
都道府県知事許可(新規)9万円
国土交通大臣許可(新規)15万円
更新申請5万円(知事許可)、5万円(大臣許可)
業種追加5万円
行政書士報酬20万円程度
その他登記簿謄本代、住民票、証明書発行手数料など

行政書士に依頼すると、トータルで30万円程度かかることが一般的です。

8. 許可取得に必要な書類

建設業許可を取得するためには、以下の書類を提出する必要があります。

基本書類

✅ 許可申請書
✅ 会社の登記簿謄本(法人の場合)
✅ 定款(法人の場合)
✅ 役員の住民票
✅ 経営業務の管理責任者証明書
✅ 専任技術者の資格証明書
✅ 事業所の写真・賃貸契約書
✅ 納税証明書
✅ 過去の工事実績書類

※個人事業主の場合は、確定申告書の写しが必要になります。

9. 許可取得に必要な資格

許可取得には、経営業務の管理責任者専任技術者の設置が必須です。

(1) 経営業務の管理責任者(いずれかを満たす必要あり)

  • 法人の役員として5年以上の建設業経営経験
  • 個人事業主として5年以上の経営経験
  • 建設業に関する役職(支店長など)で6年以上の経営経験

(2) 専任技術者(いずれかを満たす必要あり)

  • 指定の国家資格を保有している
  • 10年以上の実務経験を有する

電気工事業で認められる資格

  • 第一種電気工事士
  • 第二種電気工事士(軽微な工事のみ)
  • 電気主任技術者
  • 電気工事施工管理技士(1級・2級)

管工事業で認められる資格

  • 管工事施工管理技士(1級・2級)
  • 給水装置工事主任技術者
  • 排水設備工事責任技術者
  • 建築設備士

専任技術者は常勤である必要があります。

10. まとめ

取得期間:2〜4ヶ月
費用:30万円程度(行政書士依頼時一般的価格)
必要書類:許可申請書、会社の登記簿謄本、資格証明書など
必要資格:経営業務の管理責任者、専任技術者(電気工事士や施工管理技士など)

建設業許可は一度取得すると、5年ごとの更新が必要になります。また、経営事項審査を受けることで公共工事の入札も可能になります。

亀田行政書士事務所では、建設業許可の取得をサポートしています。
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