1. 商業用ビザで農業に従事する外国人の問題点
「商業用ビザ」で外国人が農業に従事するには、次のような問題点が潜在しています。
• 在留資格違反の可能性
在留資格は、それぞれの活動内容が厳密に定められています。「商業用ビザ」(例えば、経営・管理ビザ)では、事業運営や管理業務が主な活動となるため、農作業を行うことは原則認められません。これを違反すると、不法就労や在留資格の取り消しにつながるリスクがあります。
• 雇用主の法的責任
外国人労働者が不法就労を行った場合、雇用主も「不法就労助長罪」に問われる可能性があります。罰則として罰金や懲役が科されることもあります。
• 地域農業への悪影響
適切な在留資格を持たない外国人の就労は、地域農業の健全な発展を阻害するだけでなく、合法的に働く外国人の信用にも悪影響を及ぼします。
2. 農業に従事するために必要な在留資格
外国人が日本で合法的に農業に従事する場合、次のような在留資格が必要です。
① 特定技能(1号)
• 対象業務
農業分野(耕種農業、畜産業)で一定の技能を持つ外国人が働ける在留資格。
• 条件
• 技能試験および日本語試験に合格すること。
• 在留期間は通算5年間(家族の帯同不可)。
• メリット
農作業に特化しており、即戦力として雇用できる。
② 技能実習
• 対象業務
技能習得を目的としており、農業分野も対象となる。
• 条件
• 技能実習計画の認定が必要。
• 在留期間は最長3年(段階に応じて更新)。
• 注意点
あくまで「技能習得」が目的であり、単純労働としての利用は違法。
③ その他の在留資格
• 「永住者」や「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ場合、就労制限がないため農業にも従事可能。
3. 在留資格取得の流れ
農業分野で外国人を雇用する際、新規取得と在留資格変更の2パターンがあります。
① 新規取得の場合
1. 事前準備
• 求職者が技能試験および日本語試験に合格する。
• 雇用主が就労条件や契約内容を明示。
2. 在留資格認定証明書の交付申請
• 雇用主が地方出入国在留管理局に申請。
• 必要書類:雇用契約書、会社概要、外国人の履歴書など。
3. ビザ申請
• 本国の日本大使館で在留資格認定証明書を基にビザを申請。
4. 入国・就労開始
• 入国後、在留カードを受け取り、雇用開始。
② 在留資格変更の場合
1. 条件確認
• 現在の在留資格が農業従事に適していない場合に変更が必要。
2. 変更申請
• 地方出入国在留管理局にて申請。
• 必要書類:雇用契約書、会社概要、外国人の履歴書、活動計画書など。
3. 審査・許可
• 許可されれば新たな在留カードを受領。
4. 外国人雇用を考える農家へのアドバイス
農業分野で外国人を雇用する際は、次のポイントを守りましょう。
1. 在留資格の確認
雇用前に在留資格を必ず確認し、適切な手続きで雇用すること。
2. 専門家への相談
入管手続きに不安がある場合は、行政書士など専門家に相談する。
3. 法令遵守の徹底
適切な手続きと条件で外国人を受け入れ、地域社会に貢献する農業経営を目指す。
5. まとめ
「商業用ビザ」での農業就労は法的リスクが大きく、適切な在留資格の取得が必要です。農業分野の在留資格を取得するには、手続きの流れをしっかり把握し、雇用者・労働者双方が法令を守ることが重要です。
亀田行政書士事務所では、外国人雇用に関するビザ申請や手続きのサポートを行っています。外国人雇用でお悩みの農家の皆さまは、ぜひお気軽にご相談ください。