令和6年10月1日公布:貨物軽自動車運送事業における安全対策の強化について

皆様、こんにちは。亀田行政書士事務所です。
本日は、令和6年10月1日に国土交通省より発表された貨物軽自動車運送事業に関する安全対策の強化についてお知らせいたします。電子商取引(EC)市場の拡大に伴い、軽自動車を使用した運送事業者が増加している中、安全対策の強化を目的とした新たな制度が施行されることとなりました。この制度改正の背景や新たな規制内容について詳しくご紹介いたします。

1. 背景

近年、EC市場の拡大により、宅配便の取扱いが増加し、物流センターや小売店から消費者への配送手段として軽自動車を用いた運送の需要が高まっています。しかし、その一方で、平成28年から令和4年にかけて、事業用軽自動車における死亡・重傷事故の発生率が約5割増加しました。これを受け、令和6年5月15日に公布された「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」を踏まえ、さらなる安全対策強化が求められることとなりました。

2. 新制度の概要

今回の改正では、以下の5つの主要な変更点が導入されます。

(1)貨物軽自動車安全管理者の選任と講習受講の義務化

貨物軽自動車運送事業者(バイク便事業者は除く)は、営業所ごとに「貨物軽自動車安全管理者」を選任し、国土交通大臣への届出を義務化されます。また、選任された安全管理者は講習を受講しなければなりません。

(2)業務記録の作成・保存の義務付け

事業者は、毎日の業務開始・終了地点や業務に従事した距離などの記録を作成し、これを1年間保存することが義務付けられます。

(3)事故記録の作成・保存の義務付け

事故が発生した場合、事業者はその概要や原因、再発防止対策などを記録し、3年間保存することが求められます。

(4)国土交通大臣への事故報告の義務化

死傷者を伴う事故等、一定規模以上の事故については、運輸支局等を通じて国土交通大臣に報告する義務が生じます。

(5)特定の運転者への指導・監督及び適性診断の義務付け

事故を起こしやすい運転者、初任運転者、高齢運転者などに対しては、特別な指導や適性診断を行うことが義務付けられます。また、これらの運転者の指導記録や適性診断の結果を「貨物軽自動車運転者等台帳」に記載し、営業所に備え置く必要があります。

3. スケジュールと経過措置

今回の制度改正は、以下のスケジュールで進行します。

  • 公布日:令和6年10月1日
  • 施行日:令和6年11月1日(講習機関に関する登録関係)
  • 令和7年4月(予定):貨物軽自動車運送事業者への規制関係

また、既存の事業者に対しては経過措置が設けられています。貨物軽自動車安全管理者の選任に関しては、施行後2年以内に、特定の運転者への指導や適性診断に関しては、施行後3年以内に対応を完了することが求められます。

4. 安全対策のリーフレット・問い合わせ先

国土交通省では、安全対策に係るリーフレットや質問集を公式ページにて公開しています。動画や記録様式の例も順次公開される予定です。詳しくは下記リンクをご参照ください。
国土交通省のページはこちら

また、制度改正に関する問い合わせ窓口も設置されています。ご不明な点がございましたら、極力メールでの問い合わせをお願い致します。

  • 電話番号:050-3666-8021(平日9:00~17:00)
  • メールinfo@kamotsu-k.co.jp
  • ※窓口は令和7年3月31日まで設置予定です。来年度以降も問い合わせ窓口が設置される予定です。

今後も亀田行政書士事務所では、法改正や業界動向に関する情報を随時提供してまいります。引き続き、ご相談やご依頼がございましたらお気軽にご連絡ください。

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