弁護士法72条から見る弁護士と行政書士の明確な役割の違い

弁護士法72条と行政書士業務の適法範囲:平成17年6月8日答弁を徹底解説

行政書士として業務を行う際、弁護士法第72条との関係を正確に理解することが必要不可欠です。特に、行政書士業務が「法律事務」に該当するかどうか、またその業務が事件性を伴うかどうかが重要な論点です。平成17年6月8日の第162回国会における倉吉敬氏の答弁は、これらの疑問に対する重要な指針を提供しています。

弁護士法72条とは何か?

弁護士法第72条では、弁護士資格を持たない者が「法律事件に関する業務」を報酬を得て行うことを禁止しています。これを「非弁行為」と呼び、違反した場合には刑事罰が科される可能性があります。

しかし、法律事務すべてが規制されるわけではない点について、倉吉敬氏が具体的に述べています。

平成17年6月8日 第162回国会答弁のポイント

倉吉敬氏の答弁の概要

当時、法務省民事局参事官であった倉吉敬氏は、以下のように述べました:

1. 弁護士法72条の規制対象について

倉吉氏はまず、「弁護士法72条が規制しているのは、すべての法律事務ではない」と明言しました。

2. 事件性の必要性

次に、「一般の法律事務が規制されるには、事件性が必要である」と説明し、次のように述べています:

「事件性とは、訴訟事件その他具体的例示に準ずる程度に、法律上の権利義務について争いがある、あるいは疑義を有するものを指す」

つまり、法律事務であっても「事件性」がなければ、弁護士法72条には抵触しないということです。

3. 事件性のない法律事務の適法性

事件性がない業務、すなわち争いや疑義のない法律事務を取り扱うことは弁護士法72条に違反しないと解釈されています。

具体例:行政書士業務との関係

倉吉氏の説明によれば、行政書士が取り扱う書類作成業務やその相談業務の多くは、「事件性のない法律事務」に該当するため、弁護士法72条に違反しません。

ただし、紛争性が明らかな案件(例:訴訟関連書類の作成や調停を目的とした相談)については、弁護士の専権事項に該当するため、注意が必要です。

行政書士が注意すべきポイント

弁護士法72条に抵触しないために、以下の点を明確に区別することが重要です:

1. 事件性がない業務に限定する

争いや疑義がない書類作成や相談業務に徹する。

2. 紛争性がある案件は弁護士に依頼する

訴訟や紛争に関連する法律事務は、速やかに弁護士に連携する。

3. 法律上の助言に慎重を期す

法律解釈や権利義務の争いに関するアドバイスは避ける。

第162回国会答弁全文へのリンク

さらに詳しい内容を確認したい方は、以下のリンクから原文をご覧ください 142〜

162回国会 衆議院厚生労働委員会 第26号議事録(平成17年6月8日)

まとめ

平成17年の第162回国会答弁により、弁護士法72条が適用される「法律事務」の範囲が明確に示されました。行政書士業務においては、事件性のない書類作成や相談業務が中心であり、これを逸脱しないことが重要です。

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