増加する外国人雇用と厳罰化
外国人雇用の重要性が増す一方で、不法就労を防ぐための法規制も厳しくなっています。特に「入管法73条の2」に基づく不法就労助長罪について理解しておくことが不可欠です。
入管法73条の2
次の各号に該当する行為をした者は、3→5年以下の懲役若しくは300→500万円以下の罰金に処し、またはこれを併科される可能性があります:
- 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
- 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
- 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為またはその仲介を行った者
また、以下の理由で知らなかった場合でも処罰を免れることはできません(ただし、過失がない場合を除く):
- 外国人の活動が在留資格に応じた活動でないこと。
- 外国人が必要な許可を受けていないこと。
- 外国人が一定の法令違反者であること。
不法就労助長罪の影響
不法就労助長罪に該当すると、以下のような重大な影響が生じます:
- 所属機関としての欠格事由
- 技能実習計画の認定取消しや欠格(技能実習法10条2号、9号など)。
- 特定技能所属機関としての欠格事由(特定技能基準省令2条1項4号ロ、リ)。
- 許可や登録の取消し
- 職業紹介業や派遣業の許可取消し(職安法32条、派遣法6条など)。
- 登録支援機関の登録欠格(入管法19条の26など)。
- 監理業許可の欠格や取消し(技能実習法26条など)。
結果として、在留資格に基づく外国人雇用が困難となり、企業活動に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
在留カードの見方
不法就労を防ぐには、在留カードを正確に確認することが必須です。
基本的な確認ポイント
- 在留カードの表面に記載された在留期間の満了日を確認します。
- 裏面に記載された在留資格変更や更新の申請状況も確認します。
- 詳細な確認方法は法務省の公式資料をご覧ください。
雇入時の対応
外国人雇用時には以下の手続きを行い、適正な体制を構築することが重要です。
雇入時の具体例
- 住民票の写しを提出させる。
- 在留カードの原本を確認する。
- 在留カードのコピーを取得する。
- 失効情報照会を行う。
- 失効情報照会の結果を保存する。
- ICチップ読み取りアプリを使用して偽造確認を行う。
- 偽造確認結果を保存する。
- 外部専門家により在留資格での就労可否を判断してもらう。
- (学生の場合)学生証等で在籍を確認する。
- (必要に応じて)資格外活動の許可を超えた就労を行わない旨の誓約書を取得する。
更新時の対応
在留資格更新時も以下の対応が求められます:
- 在留カードの原本を確認する。
- 在留カードのコピーを取得する。
- 失効情報照会を行う。
- 失効情報照会の結果を保存する。
- ICチップ読み取りアプリを使用して偽造確認を行う。
- 偽造確認結果を保存する。
- (学生の場合)学生証等で在籍を確認する。
変更時の対応
在留資格変更時には以下の対応を行いましょう:
- 在留カードの原本を確認する。
- 在留カードのコピーを取得する。
- 失効情報照会を行う。
- 失効情報照会の結果を保存する。
- ICチップ読み取りアプリを使用して偽造確認を行う。
- 偽造確認結果を保存する。
- 外部専門家により就労可否を判断してもらう。
- (学生の場合)学生証等で在籍を確認する。
おわりに
外国人雇用を適切に行うためには、在留カードの確認や体制の構築が不可欠です。不法就労を防ぎ、法律を遵守することで、外国人材を最大限活用できる環境を整えましょう。