道路開発による農地移転の対応策について 東京都北区 亀田行政書士事務所

1. 現状の確認と初期対応

まず、現状を整理し、以下のステップを進めてください:

(1) 公共事業の計画書を確認

役所の窓口で、道路開発計画の詳細を入手。

→ 具体的な移転範囲や時期、補償内容を明確化します。

• 移転処分や補償に関する法律(例:土地収用法)に基づく条件を確認。

(2) 農地とハウスの資産評価を精査

• 農地の地価評価額やハウスの現状価値を第三者機関に依頼して算定。

→ 簿価よりも実際の再建築費用が高いことを証明するための資料となります。

2. 農地代替地の確保方法

役所が代替地を準備しない場合、自力で探すことになりますが、以下を活用できます

(1) 農地バンクや農業委員会の利用

• 地域の農地バンク農業委員会に相談し、利用可能な農地情報を収集します。

• 近隣で耕作放棄地があれば、購入や借地を交渉する。

(2) 役所への追加支援要求

• 「代替地探しの手間や費用を考慮し、支援を求める」という理由で役所に補助金や仲介を依頼します。

移転補償費の一部を代替地購入費用に充当するよう交渉します。

(3) 農地購入・借地の支援制度を活用

• 国や地方自治体が提供する補助金(例:農地再編助成金)を調査し、適用を検討。

3. 栽培用ハウスの補償交渉

補償金額が簿価の3割しか提示されていない状況は不十分です。以下の方法で交渉を進めます:

(1) ハウスの再建費用を根拠に提示

• ハウスの再建費用見積書を建設業者に依頼し、提示します。

→ 「再建に必要な費用を補償すべき」という正当性を主張。

(2) 補償内容の詳細な見直しを求める

農業経営への影響を明確に伝える(収益減少や経営維持の困難さ)。

• 近隣で認められた補償内容(国道整備の事例)を根拠に提示し、同等の条件を要求。

4. 判例や事例を活用した交渉の強化

役所との交渉では、過去の事例や判例が有力な説得材料になります。

(1) 判例

最高裁判例(昭和46年10月18日)

→ 公共事業に伴う土地収用において、合理的な価格算定基準がない補償は違法とされた。

上記判例を言い換えると、

主文

原判決を破棄し、本件を広島高等裁判所に差し戻す。

理由

上告代理人・大塚忠重の主張について

原審では、以下のような事実が認定されました:

  1. 上告人A1が所有していた「本件第一物件」(第一審判決第一目録に記載された土地)と、上告人A2が所有していた「本件第二物件」(同第二目録に記載された土地)は、倉吉都市計画で街路用地として指定されていた。
  2. その後、土地収用法に基づいて手続きが進められ、昭和39年に収用の裁定と損失補償額の決定がなされた。
  3. 収用委員会の裁決では、第一物件の損失補償額が57万5100円、第二物件が133万3200円と算定された。

原審は、この損失補償額が適正であると判断し、上告人らの請求を棄却しました。しかし、この判断には以下の法解釈上の誤りがあると考えます。

土地収用における損失補償の原則

土地収用法における損失補償の目的は、公共事業による土地の収用で所有者が受ける損害を、完全に補償することにあります。この補償額は、収用前後で所有者が同等の財産価値を保持できる金額であるべきです。特に、補償金で近隣の同等の土地を取得できるようにする必要があります。

本件での誤り

本件土地は、都市計画事業の一環で収用されるものであり、建築基準法に基づく建築制限が課されています。原審は、この建築制限を考慮した上で土地を評価し、補償額を決定しました。しかし、これは土地収用法第72条の趣旨に反します。

理由

  • 土地収用法第72条は、収用対象の土地が建築制限を受けていなかった場合の「本来の価値」に基づいて補償額を決めるべきことを示しています。
  • 建築制限を受けた状態で土地を評価するのは、所有者にとって不利益であり、補償額が適正な水準に達しません。
  • その結果、近隣の土地所有者との間で著しい不平等が生じることになります。
原判決の誤り

原審は、建築制限を受けた土地として評価した補償額を適正と判断しましたが、これは土地収用法第72条の解釈を誤ったものです。この誤りは判決に重大な影響を及ぼしているため、原判決は破棄されるべきです。

差し戻しの必要性

土地収用法第72条の趣旨に基づき、本件土地が建築制限を受けていなかった場合の価値を適切に評価する必要があります。そのため、本件を広島高等裁判所に差し戻します。

以上、裁判官全員の一致により、主文のとおり判決します。

(2) 事例

近隣地域の国道整備事例

近隣地域での補償内容を詳しく調査し、役所に同等の条件を要求。

→ 補償額の比較を提示することで説得力が増します。

5. 専門家の活用

問題解決には、以下の専門家の協力が不可欠です:

行政書士: 補償申請や交渉文書作成のサポート。

弁護士: 判例に基づいた法的交渉が必要な場合。

土地家屋調査士: 農地の測量や地価評価に関する助言。

6. 具体的な行動計画

1. 役所と交渉準備: 農地とハウスの再評価資料を収集。

2. 近隣事例の調査: 同じ公共事業に伴う補償内容を確認。

3. 専門家に相談: 行政書士や弁護士と協力し、補償条件改善を求める。

4. 農地バンク利用: 代替地確保のため、地域の情報を集める。

まとめ

現在の条件では、農業経営や生活維持が困難なため、適切な補償を得るための交渉と準備が重要です。亀田行政書士事務所では、補償金の増額交渉や代替地確保のサポートを行っています。複雑な問題にも親身に対応しますので、ぜひ一度ご相談ください。

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