【農業の法人化】メリット・デメリットと相続税への影響を解説!

農業経営を続けていく中で、「法人化すべきかどうか」と悩む方は多いのではないでしょうか?
農業の法人化には、節税や経営の安定化などのメリットがある一方で、手続きや税負担の増加といったデメリットもあります。

本記事では、個人事業と法人の違い、法人化のメリット・デメリット、相続税への影響について詳しく解説します。

1. 個人事業と法人の違い

農業経営を個人事業で行う場合、農業従事者自身の所得として税金を計算します。一方、法人化すると、法人の利益に対して法人税が課税され、役員報酬として経営者の所得を分けることが可能になります。

また、法人化することで経営と個人の財産を明確に分離できるため、経営の透明性が向上し、長期的な事業運営がしやすくなるという特徴があります。

2. 農業法人化のメリット

① 所得が高額だと節税につながる

個人事業の場合、所得が高くなると所得税の累進課税により税負担が増します。しかし、法人化することで法人税の税率が一定になり、役員報酬などを活用することで所得分散による節税が可能です。(所得900万円が分岐点)

② 経営と個人を分離できる

法人化すると、個人の資産と法人の資産を分けて管理できるため、経営の透明性が向上し、財務管理がしやすくなります。

③ 社会保険に加入できる

法人化すると、経営者も厚生年金や健康保険に加入できるため、老後の保障が手厚くなります。個人事業では国民健康保険・国民年金のみとなるため、法人化による社会保険の充実は大きなメリットです。

④ 赤字(欠損金)の繰り越し期間が長い

法人の場合、赤字(欠損金)を最大10年間繰り越し可能です。一方、個人事業では繰り越し期間が3年と短いため、法人の方が税務上有利になる場合があります。

⑤ 共同経営がしやすい

法人化すると、複数人での共同経営が可能になります。個人事業では基本的に1人での経営となりますが、法人なら役員を設置し、組織的な運営がしやすくなります。

3. 農業法人化のデメリット

① 記帳や決算申告の手間が増える

法人化すると、会計処理が複雑になり、決算申告などの業務負担が増えます。そのため、税理士に依頼するケースが一般的ですが、その分のコストも考慮する必要があります。

② 社会保険料の負担が増える

法人では厚生年金や健康保険の保険料を法人と従業員が折半するため、個人事業と比べて社会保険料の負担が増加します。

③ 赤字でも法人住民税などの負担がある

法人の場合、赤字であっても均等割(法人住民税の最低額)が課税されるため、個人事業よりも固定費が増える点に注意が必要です。

4. 法人化と相続税への影響

法人化は相続税対策としても有効な場合がありますが、注意点もあります。

【メリット】

株式評価となり、相続財産額が減少することがある
法人化すると、事業用資産が法人の所有となり、経営者の個人資産としての評価額が下がるため、相続財産の圧縮が可能です。

少しずつ贈与できる
法人の株式は、段階的に贈与することが可能です。これにより、一度に大きな相続税が発生するリスクを減らすことができます。

【デメリット】

法人に資産を移す際に多額の税金がかかる
個人資産(農地や機械など)を法人に移転する際、譲渡所得税や消費税が発生する場合があります。事前に税理士とシミュレーションを行い、税負担を確認しましょう。

法人化の手続きに費用がかかる
法人設立には、定款作成・登記費用・登録免許税などの初期費用が発生します。また、法人維持のための会計・税務の管理費用も考慮する必要があります。

5. 法人化による経営の安定性と信用力向上

法人化すると、銀行からの融資や補助金申請で有利になる場合が多く、対外的な信用力が向上します。また、人材採用の面でも法人の方が優位に働くことが多いです。

さらに、法人化することで事業承継がスムーズになり、次世代への引き継ぎがしやすくなります。

6. 法人化を検討する際のポイント

農業法人化は、経営規模や将来の事業計画によって適したタイミングが異なります。特に、以下のような場合は法人化を検討する価値があります。

年間所得が高く、節税メリットが期待できる
将来的に共同経営や事業拡大を考えている
相続税対策を視野に入れている
融資や補助金の利用を検討している

一方で、税負担の増加や手続きの煩雑さもあるため、法人化のメリット・デメリットを総合的に判断することが重要です。

7. 税務・会計は専門家への相談が必須!

法人化を進める際には、税務や会計の専門家(税理士)に相談することをおすすめします
特に、法人化に伴う税金のシミュレーションや資産の移転手続きは専門知識が必要です。

亀田行政書士事務所では、農業法人化の手続きサポートを行っております
また、顧問税理士と連携し、法人化後の税務相談にも対応可能ですので、お気軽にご相談ください。

【まとめ】

農業法人化には、節税・経営の安定化・社会保険の充実といったメリットがある
一方で、手続きの煩雑さや税負担の増加といったデメリットもある
相続税対策として有効な場合もあるが、資産移転時の税負担に注意が必要
法人化を検討する際は、税理士など専門家に相談するのがベスト!亀田行政書士事務所HPへ

農業法人化をお考えの方は、亀田行政書士事務所までお気軽にご相談ください!