産業廃棄物収集運搬業の新規申請では、これから取り扱う産業廃棄物の種類を選択します。
例えば、次のような品目です。
- 廃プラスチック類
- 紙くず
- 木くず
- 繊維くず
- 金属くず
- ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
- がれき類
- 汚泥
- 廃油
- 廃酸
- 廃アルカリ
新規申請の段階では、「現在、確実に扱う品目だけでよい」と考えがちです。
しかし、許可を取得した後で新しい仕事を受注しようとしたところ、必要な品目が許可証に入っていなかった、というケースがあります。
この場合、許可証に品目名を書き加えてもらうだけでは済みません。別途、事業範囲変更許可申請が必要となり、改めて法定手数料や行政書士報酬が発生します。
産業廃棄物収集運搬業の新規申請では、現在の仕事だけでなく、今後受注する可能性がある仕事まで考えて、品目を選ぶことが重要です。
新規申請時は品目数が増えても法定手数料は原則同じ
産業廃棄物収集運搬業の新規許可申請では、同じ普通産業廃棄物の申請であれば、選択する品目数によって申請手数料が加算される仕組みではありません。
東京都、神奈川県及び茨城県では、2026年8月現在、産業廃棄物収集運搬業の新規許可申請手数料は81,000円です。
例えば、新規申請時に次の2品目を申請する場合と、
- 廃プラスチック類
- 木くず
次の7品目を申請する場合で、
- 廃プラスチック類
- 紙くず
- 木くず
- 繊維くず
- 金属くず
- ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
- がれき類
通常、自治体へ納める新規許可申請手数料そのものが品目数に応じて増えるわけではありません。
ただし、品目を増やせば、事業計画、運搬先、使用車両、運搬容器などについて、追加の確認や資料が必要になることがあります。
「手数料が同じだから全部選んでおけばよい」ということではなく、実際に取り扱う可能性があり、適切な運搬方法を説明できる品目を選ぶことが大切です。
許可取得後に品目を追加すると71,000円かかることも
許可取得後に、現在の許可証に記載されていない品目を追加する場合は、原則として「事業範囲変更許可申請」が必要です。
東京都、神奈川県及び茨城県では、産業廃棄物収集運搬業の変更許可申請手数料は、2026年8月現在、1都県につき71,000円です。
例えば、新規申請時に「廃プラスチック類」と「木くず」だけを選び、許可取得後に「金属くず」を追加する場合、金属くず1品目の追加であっても、変更許可申請手数料として71,000円が必要になります。
さらに、行政書士へ依頼する場合は、変更許可申請の書類作成・申請報酬、公的書類の取得費用、郵送料などが別途必要です。
新規申請時に必要な品目として金属くずを含めていれば、新規許可申請手数料81,000円の中で審査を受けられたものが、許可取得後に追加すると、改めて変更許可申請手数料71,000円が必要になるのです。
神奈川県・産業廃棄物収集運搬業の許可
茨城県・産業廃棄物収集運搬業許可申請
更新申請のときに無料で品目を追加できるわけではありません
よくある誤解が、次のようなものです。
「もうすぐ更新だから、そのときに金属くずも追加してもらえばよい」
「更新申請書の内容変更として、品目を書き加えればよい」
「車両変更や役員変更と同じように、変更届を出せばよい」
しかし、更新許可申請は、現在受けている許可を継続するための手続です。
取り扱う産業廃棄物の種類を増やすことは「事業範囲の拡大」に当たるため、更新申請や通常の変更届ではなく、別途、事業範囲変更許可申請が必要です。
廃棄物処理法第14条の2でも、産業廃棄物収集運搬業者が事業の範囲を変更する場合は、都道府県知事等の許可を受けなければならないと定められています。
更新と品目追加を同時に行う場合の費用例
東京都、神奈川県及び茨城県では、普通産業廃棄物収集運搬業の更新許可申請手数料は73,000円(東京42,000円)、変更許可申請手数料は71,000円です。
更新のタイミングで金属くずなどの品目を追加する場合は、1都県につき次の法定手数料が必要になります。
| 申請内容 | 法定手数料 |
|---|---|
| 更新許可申請 | 73,000円 |
| 事業範囲変更許可申請 | 71,000円 |
| 合計 | 144,000円 |
3都県すべてで更新と品目追加を行う場合は、法定手数料だけで合計432,000円になります。
品目追加は、更新申請書の一部を書き換える程度の手続ではありません。申請書、添付資料、法定手数料とも、更新許可申請とは別に必要になるのが原則です。
新規申請時にどこまで品目を選べばよいのか
将来必要になる可能性があるからといって、実際に取り扱う予定がない品目まで無条件に選べばよいわけではありません。
新規申請時には、次の点を確認して品目を選びます。
現在受注している仕事
現在の工事、解体、設備交換、清掃、リフォーム、製造などで、どのような廃棄物が発生するのかを確認します。
今後受注する可能性がある仕事
現在は扱っていなくても、今後受注する可能性が高い業務については、あらかじめ必要な品目を検討します。
排出事業者から求められる品目
元請会社や取引先から、どの品目の許可を求められているのかを確認します。
使用する車両と運搬容器
品目を申請しても、その廃棄物を安全に運べる車両や容器がなければ、申請内容の説明ができません。
搬入予定の処分場
追加したい品目を受け入れる処分場が決まっているか、又は受入れ可能な処分場があるかを確認します。
業種ごとに検討したい主な品目
実際に必要な品目は仕事内容によって異なりますが、次のような組合せが考えられます。
解体工事・内装工事
- 廃プラスチック類
- 紙くず
- 木くず
- 繊維くず
- 金属くず
- ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
- がれき類
電気工事・設備工事
- 廃プラスチック類
- 金属くず
- ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
- がれき類
- 廃油
- 汚泥
遺品整理・事業所片付け
事業系産業廃棄物を取り扱う場合は、次の品目が関係する可能性があります。
- 廃プラスチック類
- 金属くず
- ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
ただし、一般家庭から排出される廃棄物は原則として一般廃棄物です。産業廃棄物収集運搬業許可だけで、家庭ごみを収集・運搬できるわけではありません。
自動車整備・機械整備
- 廃プラスチック類
- 金属くず
- 廃油
- 汚泥
- ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
実際の品目判断は、廃棄物の名称だけでなく、発生工程、材質、性状、排出事業者の業種を踏まえて行います。
品目を増やすと運搬容器が必要になることがあります
新規申請時に品目を選ぶ際は、品目名だけでなく、その廃棄物をどのように運ぶかも考える必要があります。
廃棄物の種類や性状によっては、専用の運搬容器を準備し、申請書へ容器の写真や使用方法を記載します。
| 品目・性状 | 運搬方法・容器の例 |
| 金属くず | 荷台、コンテナ、箱型容器等。細かい切削くずなどは蓋付き容器やシートを使用 |
| 固形状の汚泥 | オープンドラム缶、蓋付き容器等 |
| 泥状・液状の汚泥 | 密閉容器、密閉式ドラム缶等 |
| 廃油 | 油に対応した密閉容器、ドラム缶等 |
| 廃酸・廃アルカリ | 内容物に耐えられる耐腐食性の密閉容器 |
| ガラスくず等 | 荷台、コンテナ、フレコンバッグ等。破片の飛散・落下を防止 |
| 水銀使用製品産業廃棄物 | 形状や大きさに適した専用容器等に収納し、破損と混合を防止 |
| 石綿含有産業廃棄物 | 原形のまま積載し、シート、こん包、フレキシブルコンテナ等で飛散を防止 |
同じ品目でも、固体、液体、泥状、粉状などの性状によって必要な容器は変わります。
申請したい品目が増えるほど、必要になる車両・容器・写真・事業計画の確認も増える可能性があります。
金属くずは必ず容器が必要?
金属くずについては、必ず特定の容器が必要になるわけではありません。
大きな金属製品や鉄骨などは、平ボディ車やダンプ車で運搬できる場合があります。
一方、次のような金属くずは、飛散や落下を防止するため、容器やシートが必要になることがあります。
- 金属粉
- 切削くず
- 研磨くず
- 小さな金属部品
- 鋭利な切断くず
- 油が付着した金属くず
また、油が付着しているものや、プラスチック・ガラスなどが一体になった製品は、金属くず以外の品目にも該当する可能性があります。
水銀使用製品産業廃棄物を含める場合
蛍光ランプ、水銀体温計、水銀血圧計、一部の電池や計測機器などを取り扱う場合は、水銀使用製品産業廃棄物の取扱いについて確認が必要です。
環境省の水銀廃棄物ガイドラインでは、次の措置が示されています。
- 破砕しない方法で運搬する
- ほかの廃棄物と区分する
- 形状、大きさ、材質に適した容器を使用する
- 破損防止措置を講じる
- 破損した場合は密閉容器等に入れる
水銀使用製品産業廃棄物は、単に「金属くず」や「ガラスくず等」を選べば取り扱えるとは限りません。許可証上で、水銀使用製品産業廃棄物を含むことが認められている必要があります。
石綿含有産業廃棄物を含める場合
解体工事、リフォーム工事、設備工事などでは、石綿含有産業廃棄物が発生する可能性があります。
石綿含有産業廃棄物を取り扱う場合は、許可証において、その取扱いが認められている必要があります。
環境省のマニュアルでは、石綿含有産業廃棄物について、破砕しないように原形のまま積載し、シート掛けやフレキシブルコンテナへの収納などの飛散防止措置を講じることとされています。
なお、飛散性の高い「廃石綿等」は特別管理産業廃棄物です。通常の産業廃棄物収集運搬業許可とは別に、特別管理産業廃棄物収集運搬業許可が必要になります。
新規申請前に確認したいチェックリスト
産業廃棄物収集運搬業の新規申請前には、次の項目を確認しましょう。
- 現在の仕事内容
- 今後受注する可能性がある仕事内容
- 取引先から求められている許可品目
- 実際に発生する廃棄物の写真
- 廃棄物が発生する工程
- 廃棄物の材質と性状
- 石綿・水銀の取扱予定
- 使用予定の車両
- 必要な運搬容器
- 搬入予定の処分場
- 許可が必要な都道府県
「現在扱っている2品目だけで申請する」と即断せず、今後の事業計画まで含めて確認することが、余計な変更許可費用を防ぐことにつながります。
よくある質問
新規申請では品目を多めに選んだ方がよいですか?
今後取り扱う可能性があり、車両、運搬容器、運搬先などを具体的に説明できる品目は、新規申請時に含めることを検討した方がよいでしょう。
ただし、実際に取り扱う予定がなく、運搬方法や事業計画も説明できない品目まで、無条件に選択すればよいわけではありません。
現在の仕事内容だけでなく、今後受注する可能性がある工事や取引先から求められる品目まで確認して選ぶことが重要です。
新規申請時に品目を増やすと申請手数料も高くなりますか?
同じ普通産業廃棄物収集運搬業の新規申請であれば、通常、選択する品目数によって自治体へ納付する申請手数料が加算されるわけではありません。
一方、許可取得後に品目を追加する場合は、別途、事業範囲変更許可申請が必要です。
そのため、新規申請時に将来の事業内容まで検討しておくことが、後から発生する変更許可費用を抑えることにつながります。
1品目だけの追加でも変更許可申請が必要ですか?
現在の許可証に記載されていない品目を追加する場合は、1品目だけであっても、原則として事業範囲変更許可申請が必要です。
東京都、神奈川県及び茨城県では、普通産業廃棄物収集運搬業の変更許可申請手数料は、2026年8月現在、1都県につき71,000円です。
更新申請書に追加品目を書けば許可されますか?
原則として、更新許可申請とは別に事業範囲変更許可申請が必要です。
更新許可申請は、現在受けている許可を継続するための手続です。取り扱う品目を増やすことは事業範囲の拡大に当たるため、通常の内容変更や変更届と同じように追加することはできません。
更新申請と品目追加を同時に行うことはできますか?
同じ時期に手続を進めることは可能ですが、更新許可申請と事業範囲変更許可申請は別の手続です。
それぞれ申請書や法定手数料が必要になるため、「更新のついでに無料で追加できる」というものではありません。
車両の追加と品目の追加は同じ変更手続ですか?
異なります。
車両の追加や抹消は、原則として許可取得後の変更届となります。一方、取り扱う産業廃棄物の種類を増やす場合は、事業範囲変更許可申請となります。
変更届と変更許可申請では、必要書類、手数料、審査内容が大きく異なります。
品目を追加すれば、現在の車両でそのまま運搬できますか?
追加する廃棄物の種類や性状によって異なります。
現在の車両で飛散・流出を防止できるか、車検証上の最大積載量に問題がないか、適切な運搬容器を積載できるかなどを確認する必要があります。
品目によっては、車両や運搬容器の追加が必要になることもあります。
金属くずには必ず運搬容器が必要ですか?
必ず特定の容器が必要になるわけではありません。
大きな金属製品などは、飛散・落下防止措置を講じたうえで、平ボディ車やダンプ車で運搬できる場合があります。
一方、金属粉、切削くず、研磨くず、小さな部品などは、蓋付き容器、箱型容器、フレコンバッグ、シートなどが必要になることがあります。
水銀や石綿を含む廃棄物も、通常の品目を選べば運搬できますか?
通常の品目名だけでは判断できません。
水銀使用製品産業廃棄物や石綿含有産業廃棄物については、許可証上でその取扱いが認められているか確認する必要があります。
また、破損や飛散を防止するため、専用容器、プラスチックケース、フレキシブルコンテナ、シートなどの準備が必要になる場合があります。
なお、飛散性の高い廃石綿等は特別管理産業廃棄物に該当するため、通常の産業廃棄物収集運搬業許可とは別の許可が必要です。
変更許可申請を提出した日から、新しい品目を運搬できますか?
申請書を提出しただけでは運搬できません。
事業範囲変更許可を受け、交付された許可証に追加品目が記載されていることを確認してから、収集・運搬を開始してください。
まとめ
産業廃棄物収集運搬業では、新規申請時の品目選びが非常に重要です。
同じ普通産業廃棄物収集運搬業の新規申請であれば、通常、品目数によって法定手数料が加算されるわけではありません。
一方、許可取得後に品目を追加する場合は、1品目だけでも事業範囲変更許可申請が必要となり、東京都、神奈川県及び茨城県では、1都県につき71,000円の法定手数料がかかります。
更新時であっても、品目追加を車両変更や役員変更と同じように行うことはできません。更新許可申請とは別の申請書、法定手数料、必要書類が求められます。
また、追加する品目によっては、次のような運搬容器や飛散・流出防止措置も必要です。
- ドラム缶
- 密閉容器
- 蓋付き容器
- フレコンバッグ
- プラスチックケース
- シート
- 石綿用のこん包材
- 水銀使用製品の破損を防止できる専用容器
新規申請の段階で、
「現在、どのような廃棄物を運搬するのか」
「今後、どのような仕事を受注する可能性があるのか」
「その仕事には、どの許可品目が必要になるのか」
「どの車両・運搬容器で安全に運ぶのか」
まで具体的に検討することが、許可取得後の追加費用や受注機会の損失を防ぐポイントです。
亀田行政書士事務所では、東京都を中心に、産業廃棄物収集運搬業の新規・更新・変更許可申請について、郵送による全国対応を行っております。
新規申請時の品目選びから、車両、運搬容器、石綿・水銀の取扱いまで、実際の仕事内容と今後の事業計画を確認しながらご案内いたします。
「どの品目を選べばよいか分からない」という段階でも、お気軽にご相談ください。
✅ 無料相談受付中! お電話またはお問い合わせフォームからご連絡ください。
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