行政書士試験の記述式対策というと、
「40字程度の模範解答を正確に書けるようにしなければならない」
と考えがちです。
もちろん、本番で正確な答案を書けるのが理想です。
ただ、私が記述式対策でそれ以上に意識したいと思っているのが、
「その問題で何という法律用語を書かせたいのか」
という視点です。
本試験では、
「論点は分かっている。でも40字できれいにまとめられない」
という場面が当然あります。
そのとき、何も書けずに終わるのか。
それとも、
「違法性の承継」
「共同の免責」
「特別の犠牲」
「通常有すべき安全性」
など、論点の中心となる法律用語を書けるのか。
ここには大きな違いがあります。
行政書士試験の記述式について、個々のキーワードごとの具体的な配点は公表されていません。
そのため、「この言葉を書けば必ず何点」ということは言えません。
しかし、論点を正確に示す重要語句を答案に入れることは、部分点を狙ううえで非常に重要だと考えています。
そこで今回は、本試験そっくりの長い事例問題を作ることよりも、
「この論点が出たら、最低限どの言葉を書きたいか」
を重視して、令和8年度行政書士試験の記述式を予想しました。
民法15問、行政法15問。
合計30問です。
今回の記述予想のルール
今回の30問は、闇雲に重要論点を並べたものではありません。
次の基準で選んでいます。
①過去の記述式で中心論点となったものは原則として外す
今回の予想では、平成18年度以降の記述式の出題テーマを確認し、過去に答案の中心として出題されたと判断した論点は原則として予想対象から外しています。
これは、
「一度出題された分野は二度と出ない」
という意味ではありません。
例えば行政事件訴訟法であっても、原告適格、訴えの利益、義務付け訴訟、差止めなど、書かせる内容はそれぞれ異なります。
そこで、
「何法が出題されたか」ではなく、「過去に何を書かせたか」
を基準にしています。
あくまで今回の予想のための独自ルールです。
②令和3年度~令和7年度の択一・多肢選択を材料にする
今回の予想問題は、直近5年間の行政書士試験を中心に検討しています。
特に、
・択一問題で扱われた重要条文
・選択肢の一つに入っている重要論点
・多肢選択式で扱われた判例
・数年間で繰り返し登場しているテーマ
を重視しました。
なお、行政書士試験研究センターの試験問題には著作権があります。
そのため、本記事では過去問の問題文を転載せず、過去問で扱われた論点を参考にしたオリジナルの予想問題を掲載しています。
③直近5年で繰り返し出ている論点を高く評価する
個人的にかなり重視しているポイントです。
数年前に択一で出題された論点が、再び択一や多肢選択で登場している。
それにもかかわらず、まだ記述式の中心論点として使われていない。
こうした論点については、
「択一から記述へのスライド」
を警戒してよいのではないかと考えています。
④近年の法改正を重視する
令和8年度行政書士試験では、2026年4月1日現在施行されている法令が試験範囲になります。
民法については、債権法・相続法の改正後の条文が択一問題でも定着してきました。
さらに2026年4月1日には、離婚後の親権、親の責務、養育費、親子交流などについての改正民法も施行されています。
法改正部分については特に注意したいところです。
記述式は「模範解答」より先にキーワードを覚える
例えば、
「共同の免責を得た連帯債務者は、各自の負担部分に応じた額を他の連帯債務者に求償できる。」
という内容が答えになる問題が出たとします。
これを一字一句暗記するのは大変です。
そこで、まず、
共同の免責
負担部分
求償
の3語を覚えます。
この3つが頭に浮かべば、そこから文章を作ることができます。
逆に、この3語自体が出てこなければ、40字の答案を作るのは難しくなります。
今回の30問では、すべて
「部分点を狙う重要キーワード」
を先に掲載します。
民法・記述式予想15問
★★★★★ 本命5問
★★★★★ 予想1 連帯債務者間の求償
部分点を狙う重要キーワード
「共同の免責」「負担部分」「求償」
予想問題
A、B、Cは、債権者Xに対して300万円の連帯債務を負っており、内部の負担割合は各3分の1であった。
AがXに300万円全額を弁済した場合、AはB、Cに対してどのような権利を行使することができるか。
解答例
共同の免責を得たAは、B、Cに対して各自の負担部分に応じた額を求償することができる。
コメント
連帯債務は令和5年度、令和7年度と直近で繰り返し出題されています。
記述式になった場合、
「求償できる」
だけでなく、
共同の免責+負担部分+求償
まで書きたいところです。
民法の本命候補と考えています。
★★★★★ 予想2 相続開始から10年経過後の遺産分割
部分点を狙う重要キーワード
「相続開始から10年」「特別受益」「寄与分」「考慮しない」
予想問題
被相続人Aが死亡してから11年後に遺産分割を行うことになった。
相続人Bには特別受益があり、相続人Cには寄与分がある。
法律上の例外事由がない場合、これらは遺産分割においてどのように扱われるか。
解答例
相続開始から10年経過後は、原則として特別受益及び寄与分を考慮せず遺産分割をする。
コメント
近年の相続法改正で導入された重要なルールです。
令和6年度の択一でも、相続開始から10年を経過した遺産分割が取り上げられています。
覚えたいのは、
10年
特別受益
寄与分
です。
今回の民法15問の中でもかなり警戒したい論点です。
★★★★★ 予想3 書面でする消費貸借
部分点を狙う重要キーワード
「目的物を受け取るまで」「借主」「解除」「損害賠償」
予想問題
Aを貸主、Bを借主として、100万円を貸し付ける内容の書面による消費貸借契約を締結した。
まだBに金銭は交付されていない。
Bは契約を解除することができるか。また、Aに損害が生じた場合はどうなるか。
解答例
借主Bは金銭を受け取るまで解除でき、貸主Aに損害が生じたときはその損害を賠償する。
コメント
令和7年度問33で消費貸借が正面から出題されています。
注意したいのは、
解除できるのは借主
という点です。
さらに、
目的物を受け取るまで
貸主に損害があれば賠償
までセットで覚えたいところです。
★★★★★ 予想4 不動産譲渡と賃貸人たる地位
部分点を狙う重要キーワード
「対抗要件」「不動産の譲渡」「賃貸人たる地位」「譲受人」
予想問題
A所有の建物をBが賃借し、Bの賃借権は第三者に対抗することができる状態にある。
その後、Aが建物をCに譲渡した。
原則として、賃貸人たる地位は誰に移転するか。
解答例
対抗要件を備えた賃貸借では、不動産の譲渡により賃貸人たる地位は譲受人Cに移転する。
コメント
令和4年度問32では、不動産の譲渡と賃貸人たる地位が出題されています。
記述になった場合、
対抗要件
賃貸人たる地位
譲受人に移転
という言葉を答案に入れたいところです。
★★★★★ 予想5 認知の遡及効
部分点を狙う重要キーワード
「出生の時」「遡る」「第三者」「権利を害することができない」
予想問題
父Aが、子Bの出生から数年後にBを認知した。
認知の効力はいつから生じるか。また、それまでに第三者が取得した権利との関係はどうなるか。
解答例
認知は出生の時に遡って効力を生ずるが、第三者が既に取得した権利を害することはできない。
コメント
令和7年度問35では、認知について一問丸ごと出題されています。
さらに令和8年度は親族法改正の施行年でもあります。
認知そのものが今回の改正論点というわけではありませんが、親族法全体は警戒しておきたい分野です。
★★★★☆ 民法・準本命5問
★★★★☆ 予想6 失踪宣告の取消しと返還義務
部分点を狙う重要キーワード
「失踪宣告の取消し」「現に利益を受けている限度」「返還」
予想問題
Aについて失踪宣告がなされ、その結果BがAの財産を取得した。
その後Aの生存が判明し、失踪宣告が取り消された。
Bが財産を返還しなければならない範囲はどのようになるか。
解答例
失踪宣告の取消しにより権利を失うBは、現に利益を受けている限度で返還義務を負う。
コメント
令和6年度問27で失踪宣告が出題されています。
この論点でまず覚えたい言葉は、
「現に利益を受けている限度」
です。
民法では、こうした「返還範囲」を問う条文は記述式との相性が良いと考えています。
★★★★☆ 予想7 制限行為能力者の原状回復義務
部分点を狙う重要キーワード
「制限行為能力者」「取消し」「現に利益を受けている限度」「返還」
予想問題
未成年者Aが法定代理人の同意を得ずに契約を締結し、その後、制限行為能力を理由として契約を取り消した。
Aが相手方から受け取った給付について、どの範囲で返還義務を負うか。
解答例
制限行為能力者Aは、取消しにより受けた給付について現に利益を受けている限度で返還する。
コメント
令和6年度問28では、無効・取消しと原状回復が出題されています。
ここでも重要なのは、
現に利益を受けている限度
です。
条文の細かい文章より、この言葉をまず覚えたいところです。
★★★★☆ 予想8 根抵当権設定者による元本確定請求
部分点を狙う重要キーワード
「設定から3年」「元本確定請求」「請求から2週間」
予想問題
A所有の土地にBのための根抵当権が設定され、元本確定期日は定められていない。
根抵当権設定から3年以上が経過した場合、Aは元本を確定させるために何をすることができ、いつ元本が確定するか。
解答例
設定者Aは設定から3年経過後に元本確定を請求でき、請求から2週間経過時に元本が確定する。
コメント
令和4年度問29では根抵当権が出題されています。
この問題は、
3年
と
2週間
という数字がポイントです。
記述問題で数字を書かせるタイプとして警戒しておきたい論点です。
★★★★☆ 予想9 双方に責任のない履行不能と危険負担
部分点を狙う重要キーワード
「双方の責めに帰することができない」「履行不能」「反対給付」「履行を拒む」
予想問題
AがBに建物を売却したが、引渡し前にA、Bのいずれにも責任のない事情によって建物が滅失し、Aの引渡債務が履行不能となった。
Bは代金の支払いについてどのように対応できるか。
解答例
双方の責めに帰せない事由で履行不能となったため、Bは反対給付である代金の支払いを拒める。
コメント
直近5年の択一でも、目的物の滅失、履行不能、代金支払拒絶という危険負担の考え方が問われています。
覚えたい骨格は、
双方無責の履行不能
↓
反対給付を拒める
です。
★★★★☆ 予想10 遺産分割前に処分された財産
部分点を狙う重要キーワード
「遺産分割前」「処分」「処分した共同相続人以外」「全員の同意」
予想問題
共同相続人A、B、Cのうち、Aが遺産分割前に相続財産の一部を処分した。
BとCは、Aが処分した財産も遺産に含めて遺産分割をしたいと考えている。
この場合、Aの同意も必要か。
解答例
処分したAを除く共同相続人B、C全員の同意があれば、その財産を遺産とみなして分割できる。
コメント
ここは公開前の校正で表現を修正した部分です。
単に、
「共同相続人全員の同意」
と覚えるのではなく、
処分した共同相続人本人の同意は不要
というところがポイントです。
★★★☆☆ 民法・押さえ5問
★★★☆☆ 予想11 存続期間を定めた組合からの脱退
部分点を狙う重要キーワード
「存続期間」「やむを得ない事由」「脱退」
予想問題
A、B、Cは、5年間存続する組合契約を締結した。
期間途中にAにやむを得ない事情が生じ、組合から脱退したいと考えている。
Aは存続期間中でも脱退できるか。
解答例
存続期間を定めた組合であっても、やむを得ない事由があるときは組合員Aは脱退できる。
コメント
令和6年度問33で組合が出題されています。
ポイントは、
期間を定めていても絶対に脱退できないわけではない
ということ。
やむを得ない事由
を答案に入れたいところです。
★★★☆☆ 予想12 不法原因給付
部分点を狙う重要キーワード
「不法原因給付」「返還請求できない」「不法の原因が受益者にのみ存在」
予想問題
Aが不法な目的のためBに金銭を給付した。
Aは原則としてBに金銭の返還を求めることができるか。
また、不法の原因がBにだけ存在する場合はどうなるか。
解答例
不法原因給付は原則返還請求できないが、不法の原因が受益者Bにのみあるときは返還請求できる。
コメント
令和7年度問34では不当利得が出題されています。
不法原因給付では、
原則=返還できない
例外=不法の原因が受益者にのみある
という二段構造を押さえたいところです。
★★★☆☆ 予想13 留置権者による留置物の無断使用
部分点を狙う重要キーワード
「債務者の承諾なく」「留置物を使用」「留置権の消滅請求」
予想問題
留置権者Aが、債務者Bの承諾を得ず、保存に必要な範囲を超えて留置物を使用した。
この場合、BはAの留置権についてどのような請求をすることができるか。
解答例
AがBの承諾なく留置物を使用したため、BはAに対して留置権の消滅を請求することができる。
コメント
令和3年度問30で留置権が出題されています。
注意したいのは、
無断使用した瞬間に当然消滅する
のではなく、
債務者が留置権の消滅を請求できる
という点です。
★★★☆☆ 予想14 意思表示の到達妨害
部分点を狙う重要キーワード
「正当な理由なく」「到達を妨げた」「通常到達すべき時」「到達したものとみなす」
予想問題
AがBに意思表示を記載した通知を送付した。
しかしBが正当な理由なくその通知の到達を妨げた。
この場合、Aの意思表示はいつ到達したものとして扱われるか。
解答例
Bが正当な理由なく到達を妨げたため、通知は通常到達すべき時に到達したものとみなされる。
コメント
令和3年度問27で意思表示の到達が出題されています。
ここは条文の言葉をそのまま意識して、
通常到達すべき時
まで書きたいところです。
★★★☆☆ 予想15 法定追認
部分点を狙う重要キーワード
「追認することができる時以後」「異議をとどめず」「履行を請求」「追認したものとみなす」
予想問題
取消権者Aが、取消し可能な契約について、追認することができる状態になった後、異議をとどめず相手方に履行を請求した。
この場合、法律上どのように扱われるか。
解答例
追認可能時以後に異議をとどめず履行を請求したため、Aはその契約を追認したものとみなされる。
コメント
令和6年度問28では、この法定追認が選択肢として出題されています。
重要なのは、
追認可能時以後
異議をとどめず
履行請求
という条件です。
行政法・記述式予想15問
行政法については、平成18年度以降の記述式を見ると、行政事件訴訟法から非常に多く出題されています。
原告適格、義務付け訴訟、拘束力、事情判決、訴えの利益、原処分主義、無効等確認訴訟、差止めなど、主要なテーマはかなり使われています。
そこで今回の予想では、
・行政法総論
・行政手続法
・行政不服審査法
・国家賠償法
・地方自治法
にも広く目を向けました。
★★★★★ 行政法・本命5問
★★★★★ 予想1 違法性の承継
部分点を狙う重要キーワード
「違法性の承継」「先行処分」「後行処分」「先行処分の違法」
予想問題
行政庁が先行処分Aを行い、それを前提として後行処分Bを行った。
一定の場合に、Bの取消訴訟においてAの違法を主張することが認められる。
この法理を何といい、どのようなものか。
解答例
違法性の承継といい、後行処分の取消訴訟で先行処分の違法を主張することを認める法理である。
コメント
行政法総論の重要論点です。
近年の択一でも、先行処分と後行処分の関係が繰り返し扱われています。
記述で最も書かせたい言葉が、
「違法性の承継」
とはっきりしています。
行政法ではかなり警戒したい論点です。
★★★★★ 予想2 行政指導に従わない者への不利益取扱い
部分点を狙う重要キーワード
「行政指導」「従わなかった」「不利益な取扱い」「してはならない」
予想問題
行政機関がAに対して行政指導を行ったが、Aはこれに従わなかった。
行政機関は、Aが行政指導に従わなかったことを理由としてAを不利益に取り扱うことができるか。
解答例
行政指導の相手方がこれに従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
コメント
ここは非常に覚えやすい条文です。
最低限、
行政指導に従わないことを理由とした不利益取扱いは禁止
と書けるようにしておきたいところです。
★★★★★ 予想3 理由提示の趣旨
部分点を狙う重要キーワード
「判断の慎重・合理性」「恣意の抑制」「不服申立ての便宜」
予想問題
行政庁が処分を行う際に理由の提示を求められる場合がある。
判例上、処分理由を提示させる主な趣旨はどのような点にあるか。
解答例
行政庁の判断の慎重・合理性を担保して恣意を抑制し、相手方の不服申立てに便宜を与えるためである。
コメント
これは解答全文より、
慎重・合理性
恣意の抑制
不服申立ての便宜
の3点を先に覚えたい論点です。
3つとも書ければ非常に強い答案になります。
★★★★★ 予想4 損失補償と特別の犠牲
部分点を狙う重要キーワード
「適法な公権力の行使」「財産権」「特別の犠牲」「損失補償」
予想問題
法令に基づく適法な公権力の行使によって、特定の者の財産権に大きな制約が加えられた。
どのような場合に損失補償が問題となるか。
解答例
適法な財産権の制約により、特定の者に一般的受忍限度を超える特別の犠牲を課す場合である。
コメント
損失補償関係は近年の多肢選択でも繰り返し扱われています。
何より覚えてほしいのは、
「特別の犠牲」
です。
40字記述に非常に向いているキーワードだと思います。
★★★★★ 予想5 行政行為の撤回
部分点を狙う重要キーワード
「撤回」「適法に成立」「後発事情」「将来に向かって」
予想問題
行政庁が適法に成立した営業許可について、その後の事情の変化を理由として、将来に向かってその効力を失わせた。
この行政庁の行為を何というか。
解答例
撤回とは、適法に成立した行政行為を、後発事情を理由として将来に向かって効力を失わせることである。
コメント
取消しとの違いを整理しておきたいところです。
成立時から瑕疵がある → 取消し
適法に成立+後発事情 → 撤回
と考えると整理しやすくなります。
★★★★☆ 行政法・準本命5問
★★★★☆ 予想6 審査請求と執行停止
部分点を狙う重要キーワード
「審査請求」「執行不停止」「審査庁」「執行停止の申立て」
予想問題
Aは行政庁から営業停止処分を受け、この処分について審査請求を行った。
審査請求をすることによって処分の効力や執行は当然に停止するか。
また、Aが処分の執行を止めたい場合、どのような手続をとることができるか。
解答例
審査請求をしても原則執行は停止せず、Aは審査庁に対して執行停止を申し立てることができる。
コメント
まず覚えたいのは、
「審査請求をしただけでは処分は止まらない」
ということです。
これが、
執行不停止の原則
です。
そのうえで、
審査庁に執行停止を申し立てる
まで書けるようにしておきたいところです。
★★★★☆ 予想7 国家賠償法2条・営造物責任
部分点を狙う重要キーワード
「公の営造物」「通常有すべき安全性」「設置又は管理の瑕疵」
予想問題
国が管理する道路に安全上の問題があり、それが原因となってAが負傷した。
国家賠償法2条にいう「設置又は管理の瑕疵」とは、どのような状態をいうか。
解答例
公の営造物が、その種類に応じて通常有すべき安全性を欠いている状態を設置又は管理の瑕疵という。
コメント
国家賠償法2条で絶対に外したくない言葉は、
「通常有すべき安全性」
です。
問題文を読んで道路、河川、公園などが出てきたら、この言葉が出てくるようにしておきたいところです。
★★★★☆ 予想8 国家賠償法3条・費用負担者
部分点を狙う重要キーワード
「選任・監督」「費用負担者」「異なる」「賠償責任」
予想問題
公務員の選任・監督をする公共団体Aと、その公務員の職務に要する費用を負担する公共団体Bが異なっている。
公務員の行為によって国家賠償責任が生じる場合、Bも被害者に対して責任を負うか。
解答例
公務員の選任監督者と費用負担者が異なる場合には、費用負担者Bも被害者に対し賠償責任を負う。
コメント
国賠法3条は、国賠法1条・2条ほど目立ちませんが、
選任監督者
と
費用負担者
というキーワードが明確です。
記述化されると取りやすい論点です。
★★★★☆ 予想9 条例と法律の矛盾抵触
部分点を狙う重要キーワード
「条例」「法律」「趣旨・目的・内容・効果」「矛盾抵触」
予想問題
地方公共団体が、国の法律と同じ対象について独自の規制条例を制定した。
その条例が法律に反するかどうかは、どのような観点から判断されるか。
解答例
法律と条例の趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に実質的な矛盾抵触があるかで判断する。
コメント
単純に、
「法律と同じ対象を条例で規制したから違法」
とはなりません。
覚えたいのは、
趣旨・目的・内容・効果
を比較し、
矛盾抵触
があるかを見るという考え方です。
★★★★☆ 予想10 再調査の請求後の審査請求
部分点を狙う重要キーワード
「再調査の請求」「決定を経た後」「審査請求」「原則」
予想問題
Aは行政処分について、法律上認められている再調査の請求を選択して行った。
法定の例外事情がない場合、Aは再調査の請求についての決定前に、同じ処分について審査請求をすることができるか。
解答例
再調査の請求をした者は、原則としてその決定を経た後でなければ審査請求をすることができない。
コメント
令和3年度問15では、再調査の請求が一問丸ごと出題されています。
覚えたい流れは、
再調査の請求
↓
決定
↓
審査請求
です。
★★★☆☆ 行政法・押さえ5問
★★★☆☆ 予想11 土地収用と「通常受ける損失」
部分点を狙う重要キーワード
「収用又は使用」「通常受ける損失」「補償」
予想問題
土地が公共事業のため収用され、土地所有者に財産上の損失が発生した。
土地収用法上、補償の対象となる「通常受ける損失」とはどのような損失か。
解答例
土地の収用又は使用によって、社会通念上通常生ずる財産上の損失をいう。
コメント
損失補償については、本命4の
「特別の犠牲」
とあわせて押さえたい論点です。
本問では、
通常受ける損失
という法律用語を答案に出せるかがポイントです。
★★★☆☆ 予想12 通達の法的性質
部分点を狙う重要キーワード
「上級行政機関」「下級行政機関」「内部的命令」「国民を法的に拘束しない」
予想問題
上級行政機関が、法令の解釈や行政事務の運用について下級行政機関に通達を発した。
この通達は一般国民を直接法的に拘束するか。また、その法的性質はどのようなものか。
解答例
通達は上級行政機関から下級行政機関への内部的命令であり、一般国民を直接法的に拘束しない。
コメント
通達については、
行政内部では意味を持つ
一方で、
国民に対する法規そのものではない
という点が重要です。
「内部的命令」という言葉を覚えておきたいところです。
★★★☆☆ 予想13 裁量権の逸脱・濫用
部分点を狙う重要キーワード
「裁量権」「範囲を逸脱」「濫用」「違法」
予想問題
法律が行政庁に一定の裁量を認めている処分について、裁判所はどのような場合にその処分を違法と判断することができるか。
解答例
行政庁が裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用した場合には、その処分は違法となる。
コメント
行政庁に裁量があるからといって、何をしても合法というわけではありません。
記述で欲しいのは、
裁量権の逸脱・濫用
です。
この一語が出るかどうかが重要です。
★★★☆☆ 予想14 住民監査請求と住民訴訟
部分点を狙う重要キーワード
「住民訴訟」「住民監査請求」「あらかじめ」「前置」
予想問題
市の違法な財務会計行為について、住民Aが住民訴訟を提起したいと考えている。
Aは訴訟提起に先立って、どのような手続を行う必要があるか。
解答例
住民訴訟を提起するには、あらかじめ住民監査請求を行い、その手続を経る必要がある。
コメント
覚え方は非常にシンプルです。
いきなり住民訴訟には行かない。
まず、
住民監査請求
です。
「住民監査請求前置」という整理で覚えておくとよいと思います。
★★★☆☆ 予想15 情報公開法の部分開示
部分点を狙う重要キーワード
「不開示情報」「容易に区分」「除く」「残りの部分を開示」
予想問題
開示請求された行政文書の一部に不開示情報が含まれている。
しかし、その不開示部分は他の部分から容易に区分して除くことができる。
行政機関はどのように対応しなければならないか。
解答例
不開示情報を容易に区分して除くことができる場合は、その部分を除いた残りの部分を開示しなければならない。
コメント
これは、
一部に不開示情報がある=全部不開示
ではないという問題です。
重要なのは、
容易に区分して除く
↓
残りを開示
という流れです。
30問全部を丸暗記する必要はない
民法15問、行政法15問。
30問と聞くと多く感じるかもしれません。
しかし、今回覚えるべきなのは30個の解答全文ではありません。
まず、
重要キーワード
を覚えてください。
特に★★★★★の10問については、問題を見た瞬間に2~4個の重要語句が出てくる状態にしておきたいところです。
民法で優先して覚えたい5問
1 連帯債務者間の求償
共同の免責・負担部分・求償
2 相続開始から10年
10年・特別受益・寄与分・考慮しない
3 書面でする消費貸借
借主・受け取るまで・解除・損害賠償
4 不動産譲渡と賃貸人の地位
対抗要件・賃貸人たる地位・譲受人
5 認知
出生時に遡る・第三者の権利を害さない
行政法で優先して覚えたい5問
1 違法性の承継
先行処分・後行処分・違法性の承継
2 行政指導
従わない・不利益取扱禁止
3 理由提示
慎重・合理性・恣意抑制・不服申立ての便宜
4 損失補償
特別の犠牲
5 行政行為の撤回
適法に成立・後発事情・将来に向かって・撤回
私なら記述式はこう勉強する
例えば、
「違法性の承継といい、後行処分の取消訴訟において先行処分の違法を主張することができる。」
という文章を、最初から一字一句暗記しようとはしません。
まず、
違法性の承継
↓
先行処分
↓
後行処分
と覚えます。
理由提示なら、
慎重・合理性
↓
恣意の抑制
↓
不服申立ての便宜
です。
国家賠償法2条なら、
公の営造物
↓
通常有すべき安全性
↓
設置又は管理の瑕疵
です。
キーワードが頭に入っていれば、そこから文章を組み立てることができます。
本番で模範解答そのものが頭に浮かばなくても、
分かる法律用語を書く。
書ける要件を書く。
取れる可能性のある部分点を拾いに行く。
記述式では、この姿勢も大切だと思います。
令和8年度は2026年4月施行の民法改正にも注意
今回の30問については、
「令和3年度~令和7年度の択一・多肢選択から選ぶ」
というルールを優先しました。
そのため、30問とは別に警戒しておきたいのが、2026年4月1日に施行された親族法改正です。
主な改正分野には、
・子に対する父母の責務
・離婚後の親権
・親権の共同・単独行使
・子の監護
・養育費
・親子交流
・養子縁組
・財産分与
などがあります。
令和8年度行政書士試験は、2026年4月1日現在施行されている法令が出題対象です。
したがって、この改正も試験範囲に入ります。
ただし、施行されたばかりの制度であり、
「直近5年間の択一で繰り返し出題されているか」
という今回の分析方法を使うことができません。
そのため30問ランキングからは外しましたが、択一対策を含めて必ず確認しておきたい改正部分です。
まとめ―「試験委員は何という言葉を書かせたいのか」を考える
記述問題を見たとき、
「この問題の40字の正解は何だろう」
とだけ考えるのではなく、
「この問題で、何という法律用語を書かせたいのだろう」
と考えてみてください。
例えば、
共同の免責
特別受益・寄与分
現に利益を受けている限度
違法性の承継
特別の犠牲
通常有すべき安全性
裁量権の逸脱・濫用
などです。
こうした言葉が問題文を読んだ瞬間に出てくれば、そこから40字程度の文章にすることができます。
逆に、この中心キーワード自体が出てこなければ、文章を組み立てるのは難しくなります。
だから私は、
「模範解答を丸暗記する前に、答案に入れたい重要キーワードを覚える」
という記述対策をおすすめします。
今回の30問についても、まずはキーワードだけ一周してみてください。
全部の解答例を丸暗記する必要はありません。
特に★★★★★の10問については、試験直前まで繰り返し確認する価値があると思います。
もちろん、今回の30問は過去問の出題傾向、法改正等をもとにした独自の予想であり、実際の出題を保証するものではありません。
それでも、令和8年度行政書士試験の記述対策における論点整理として、少しでも参考になれば幸いです。
亀田行政書士事務所
参考資料
・一般財団法人行政書士試験研究センター「令和8年度行政書士試験のご案内」
・一般財団法人行政書士試験研究センター「過去の試験問題」
・法務省「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について」
※本記事は、行政書士試験研究センターが公表している令和3年度~令和7年度の試験問題、関係法令、法改正情報等を参考に、過去問本文を転載することなく独自の予想問題として作成したものです。
※記述式の個別の採点基準や、特定のキーワードに対する具体的な配点は公表されていません。本記事に記載する「部分点を狙う重要キーワード」は、その語句を記載すれば必ず得点できることを意味するものではありません。
※過去問の整理、論点候補の抽出、文章構成等には生成AIを補助的に利用し、最終的な内容確認、論点選定及び編集は亀田行政書士事務所で行っています。
