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農地に住宅を建てたい場合、「地目を宅地に変更すればよい」と思われる方も少なくありません。
しかし、登記上の地目が田や畑になっている土地を住宅敷地として利用するためには、原則として、先に農地転用の許可や届出が必要です。
地目変更登記は、農地転用の許可を受けた後、実際に土地の利用状況が変わってから行う手続きです。
今回は、住宅建築を目的として、農地法第3条と第5条の申請を同時に進めた事例をもとに、相談から申請、現地立会い、補正対応までの実際の流れをご紹介します。
なお、お客様、所在地、担当自治体その他の情報が特定されないよう、内容の一部を変更・一般化しています。
以前相談していた農地転用案件を再開
今回の案件は、以前から担当行政庁へ相談していた住宅建築に関する農地転用案件でした。
計画が具体化したことから、改めて申請準備を開始し、農地法第3条許可申請書と農地法第5条許可申請書の案を作成しました。
農地法第3条は、農地を農地のまま売買・贈与・貸借する際に必要となる手続きです。
農地法第5条は、農地を売買・貸借した上で、住宅敷地など農地以外の用途へ転用する場合に必要となる手続きです。
今回のように、一部の土地を農地として取得し、別の部分を住宅敷地として利用する計画では、複数の申請を同時に進めることがあります。
まず申請書案を担当行政庁へ確認
申請書を作成しても、すぐに正式提出できるとは限りません。
今回の案件では、作成した申請書案を担当行政庁へ送り、次の点を確認しました。
・申請対象となる土地の地番
・分筆予定地の取り扱い
・土地の売買代金の記載方法
・資金計画書の内容
・住宅ローン資料の内容
・建物図面の必要性
・埋蔵文化財関係の届出
・郵送申請が可能か
確認の結果、農地法第3条申請については、申請対象農地の追加、別添書類の提出、資金計画書への土地代金の記載などが必要となりました。
農地法第5条申請については、住宅ローンなどの借入れを予定している場合、その借入れを確認できる資料の提出が必要となりました。
このように、農地転用申請では、申請書の様式を埋めるだけではなく、計画内容と添付資料の整合性を確認する必要があります。
住宅の見積書と資金計画を確認
住宅建築を目的とした農地転用では、「本当に計画を実行できるのか」という点も審査されます。
そのため、一般的には次のような資料が必要になります。
・建築工事の見積書
・資金調達計画書
・預金残高証明書
・住宅ローンの融資証明書や事前審査結果
・土地代金が分かる資料
今回の案件では、依頼者から住宅建築の見積書や金融機関の事前審査資料をお預かりし、担当行政庁へ事前確認を行いました。
申請前に確認することで、正式提出後に資金計画そのものを作り直すリスクを減らすことができます。
建物図面はどこまで必要か
住宅建築を伴う農地転用では、一般的に次の図面が必要になります。
・平面図
・立面図
・配置図
・案内図
・公図
配置図では、単に建物の位置を示すだけでは足りないことがあります。
今回の案件でも、審査の過程で、道路の種別や幅員、排水先、盛土・切土の有無などを追加するよう補正が求められました。
農地転用のために作成された図面ではない場合、ハウスメーカーや設計会社が作成した図面に、農地転用審査で必要となる情報が記載されていないことがあります。
そのため、行政書士、依頼者、ハウスメーカー等が連携して図面を整えることが重要です。
埋蔵文化財の確認も必要になることがある
対象地が埋蔵文化財包蔵地に該当する場合、農地転用とは別に、教育委員会等への届出が必要になることがあります。
今回の案件では、住宅建築の見積資料を確認した際に、埋蔵文化財に関する手続きの可能性が分かりました。
担当行政庁に確認した上で、最終的には施工会社側が工事着工前に対応することとなりました。
関連手続きが見つかった場合には、行政書士が対応するのか、施工会社が対応するのかを確認し、役割分担を明確にする必要があります。
遠方からでも郵送申請できるとは限らない
今回、行政書士は遠方から申請を行う予定であったため、郵送申請が可能か確認しました。
しかし、担当行政庁からは、申請時と許可書交付時は原則として窓口対応になるとの案内がありました。
そのため、申請書類を持参して窓口で提出しました。
一方、申請後の補正資料や追加資料については、メールや郵送で対応できることとなりました。
農地転用手続きでは、自治体によって申請方法や必要部数、押印の取り扱いなどが異なります。
ホームページに郵送可能と記載されていない場合は、申請前に担当窓口へ確認することをおすすめします。
申請後に現地立会いを実施
申請後、担当農業委員と申請者による現地立会いの日程が設定されました。
現地では、一般的に次のような点が確認されます。
・対象地の位置
・現在の耕作状況
・周辺農地への影響
・進入経路
・排水計画
・転用後の土地利用計画
農地転用は、書類だけで審査されるとは限りません。
現地の状況と申請内容が一致しているかを確認するため、現地調査や立会いが行われることがあります。
分筆登記が終わっていなくても申請を進められる場合がある
今回の案件では、申請対象地の分筆登記が並行して進められていました。
しかし、分筆登記の完了が当初の予定より遅れる見込みとなりました。
そこで担当行政庁へ相談したところ、申請審査は進めつつ、分筆登記完了後に新しい登記事項証明書と公図を提出し、その後に決裁・許可書交付を行う取り扱いとなりました。
ただし、すべての自治体で同様の対応が認められるとは限りません。
分筆登記が申請期限に間に合わない可能性がある場合は、早めに農業委員会へ相談することが重要です。
県の審査で補正が求められた内容
申請後、都道府県から次の補正が求められました。
1.分筆後の登記事項証明書と公図
分筆後の地番と土地の形状を確認するため、新しい全部事項証明書と公図の提出が必要となりました。
2.配置図への追加記載
配置図には、次の事項を追加するよう求められました。
・接道している道路の種別
・道路幅員
・建築基準法上の道路の該当号
・盛土、切土の有無
・盛土規制法上の許可対象となるか
・排水先水路の許認可見込み
3.住宅ローン資料
金融機関の事前審査結果だけでは、申請者本人の契約であることが十分に確認できなかったため、本人名義の口座や契約内容が分かる資料を追加することとなりました。
4.資金計画書
資金計画書に土地代金が含まれていなかったため、土地代金を追加し、土地代金を含めた総事業費を支払えることが確認できる資料の提出が必要となりました。
農地転用は申請書を提出して終わりではありません
今回の事例では、相談から申請後の補正までに、次のような対応を行いました。
・過去の相談内容の確認
・申請書案の作成
・担当行政庁への事前確認
・必要書類の整理
・住宅見積書と融資資料の確認
・建物図面の確認
・埋蔵文化財手続きの確認
・窓口での申請
・現地立会いの日程調整
・分筆登記の進捗確認
・行政庁とのスケジュール調整
・県からの補正対応
・依頼者、ハウスメーカー、関係者への連絡
農地転用は、申請書を作成するだけの手続きではありません。
行政庁と事前相談を行い、依頼者、土地所有者、ハウスメーカー、土地家屋調査士などの関係者と調整しながら進める必要があります。
地目変更を検討している方へ
現在の地目が田や畑となっている土地について、宅地への地目変更を検討している場合、先に農地転用手続きが必要となる可能性があります。
農地転用許可を受けていない土地について、先に宅地への地目変更登記だけを行うことは、原則としてできません。
「地目変更をしたいが、何から始めればよいか分からない」
「農地に住宅を建てたい」
「親族から農地を譲り受けたい」
「分筆と農地転用を同時に進めたい」
という方は、計画の初期段階でご相談ください。
亀田行政書士事務所では、農地法第3条・第4条・第5条の申請、行政庁との事前相談、必要書類の確認、補正対応までサポートしております。
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