認知症の親の不動産は売却できる?名義変更や将来の対策について

こんにちは。亀田行政書士事務所の亀田です。

「母が施設に入ることになり、年金だけでは生活費が足りない。貯金も少ないので家を売らなければならないかもしれない…」
このような相談をよく受けます。

そこでよくある質問が、

「完全に認知症になる前に、不動産の名義を親から自分に変えることはできますか?」

です。今回は、不動産名義の変更や売却のリスク、そして安全な方法について解説します。

不動産名義の変更は簡単ではない

不動産の名義を変更する場合、方法は大きく分けて次のいずれかです。

  1. 売買
    • 子供に購入する資金が必要
    • 契約書作成や登記費用、司法書士報酬もかかる
  2. 贈与
    • 贈与税が発生する
    • 登記費用や司法書士報酬がかかる
  3. 離婚による財産分与(該当する場合のみ)

どの方法でも、契約行為なので本人の意思能力が必要です。
意思能力がない状態で契約すると、後で無効になる可能性があります。

認知症と意思能力の関係

  • 認知症と診断されただけでは、不動産売却ができるかどうかは判断できません
  • 重要なのは、本人が行為の内容と結果を理解できるか(意思能力)です
  • たとえば、売買契約の効果を理解できていれば契約は有効とみなされることがあります
  • ただし、将来相続が発生した場合、他の相続人から「親に意思能力がなかった」と主張される可能性もあります

実務上のリスク

  • 高齢の親が不動産を売却する場合、推定相続人全員の同意が望ましい
  • 契約後に他の相続人から無効を主張されると、購入した子供や不動産仲介業者まで影響を受けることがあります
  • このため、不動産仲介業者は「所有者が認知症」と分かるだけで、売買を断るケースも多いです

将来に備えた対策

将来的に安全に不動産を売却できるようにするためには、認知症になる前に準備することが重要です。

有効な方法

  • 任意後見契約
    • 元気なうちに、信頼できる人に財産管理を任せる契約
  • 家族信託
    • 親の不動産を信頼できる家族に託し、管理・運用・売却を柔軟に行える仕組み

これらの制度を利用すれば、親が認知症になっても安全に不動産を管理・売却することが可能です。

まとめ

  • 親が認知症になる前に不動産の名義変更は可能だが、売買・贈与には費用や税金がかかる
  • 契約行為には本人の意思能力が必要で、後日相続人から無効を主張される可能性もある
  • 不動産仲介業者は、認知症の親の売買には慎重になり、断られることも多い
  • 将来的に売却を安全に行うためには、任意後見契約や家族信託の活用が最も安心

ご相談ください

「親の不動産を将来的に売却したいが、安全にできるか心配」
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