
〜長女の相続後、財産を家系内につなぐ仕組み〜
「自分が築いた財産は、自分の“家系”に残したい」。
そう考えるのは自然なことですが、相続によって財産が血縁関係のない家系に移ってしまうケースも少なくありません。たとえば、子どもに恵まれなかった長女が不動産を相続し、その後配偶者に全て相続されてしまうというケースです。今回は、家族信託を使って「次世代」まで見据えた資産承継の仕組みを構築した事例をご紹介します。
ケース概要:財産を家系内にとどめたい
家族構成
- 父:財産の所有者(委託者)
- 母:既に他界
- 長男:既婚、子ども2人あり
- 長女:既婚、子どもなし
父の希望
- 自宅 → 長男へ
- 賃貸アパート → 長女へ
- 金融資産 → 長男・長女で半分ずつ
- 長女が亡くなった後、賃貸アパートは長男の子どもに引き継がせたい
このまま遺言で分けてしまうと、長女が相続した賃貸アパートは配偶者が単独で相続する可能性が高く、父の望む「家系内承継」にはなりません。
家族信託の設計(多世代継承型)
項目 | 内容 |
---|---|
委託者 | 父 |
受託者 | 長女(長男のサポートを得ながら管理) |
第二受託者 | 長男 |
第三受託者 | 長男の子ども(将来の承継を視野に) |
受益者(第1次) | 父(生前は父の利益のために信託) |
受益者(第2次) | 長女(父の死後、長女が賃料を受け取る) |
信託財産 | 賃貸アパート |
信託期間 | 長女が亡くなるまで |
残余財産の帰属先 | 長男の子ども |
この信託の効果
1. 長女が不動産を相続した後も「家系内」で継承される
父→長女→長男の子ども という信託の流れを設計することで、長女が亡くなった後に配偶者の家計へ財産が移ることを防げます。
これは通常の遺言や贈与では実現できない「受益権の世代継承」という家族信託ならではの強みです。
2. 長女に経営の学びの機会を与える
信託開始後、長女が受託者として賃貸経営に関わることにより、父が元気なうちに不動産経営のノウハウを直接教える機会が得られます。長男の協力も得て、将来の運営体制をスムーズに整えることができます。
家族信託に加えたい補完策
●任意後見契約(委任契約付)
家族信託では管理対象にできない生活面・医療・介護・行政対応については、別途、父と長男・または長女の間で任意後見契約を締結しておきましょう。判断能力が衰えてきた場合でも、本人の生活全般を支える体制が整います。
- 【理由】信託契約では「財産」管理に限られ、「身上監護」(施設入所契約や手術同意など)はカバーできないため。
●公正証書遺言の作成
本信託では「賃貸アパート」に限定した承継設計となっていますが、自宅や金融資産等の他の財産については遺言で明確な分配を定めておくことが必要です。
- 【例】
- 自宅 → 長男
- 金融資産 → 長男・長女で半分ずつ
- 遺言執行者 → 長男を指定
- 【理由】信託対象外財産の分配方法を明確にし、遺産分割協議のトラブルを防止するため。
まとめ:家系を超えない資産承継を実現するには
制度 | 主な役割 |
---|---|
家族信託 | 賃貸アパートの複数世代承継・運用管理 |
任意後見 | 生活・医療・施設入所など身上監護対応 |
公正証書遺言 | 信託対象外財産の分配明示・執行手続き明確化 |
本事例のように、「子どもに恵まれない相続人」に財産を承継させたいが、その後の“血縁外流出”を防ぎたいというご相談は非常に多くあります。
家族信託であれば、「長女→長男の子ども」へと財産の受益権をバトンタッチする設計が可能です。
これに任意後見・遺言を併用すれば、ご本人が元気なうちから亡くなった後まで、望んだ通りの財産と人生の設計を叶えることができます。
ご相談のご案内
当事務所では、お一人お一人の家族構成やご希望に応じた“将来を見据えた財産承継設計”をご提案しています。
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