
✅ はじめに
建設業許可の取得や更新、業種追加申請の際に「財産的基礎」を満たしているかどうかは、非常に重要な審査ポイントです。
特に特定建設業許可の場合には、より厳格な財務要件が課されています。
今回の第17回では、実際に多い相談内容を中心に、詳細に整理しました。
💬 Q&A|財産要件に関する実務上のポイント
Q1. 一般建設業許可を取得して5年経過した事業者が、更新時に業種追加申請をする場合、直前5年間許可を受けて継続して営業した実績に該当しますか?
A.
業種追加申請の場合、申請日時点で許可取得後5年未満であるときは、
- 直前の決算における純資産額(自己資本額)が500万円以上
- または500万円以上の資金調達能力(残高証明書)
のいずれかを満たす必要があります。
東京都では、他の許可権者において取得期間が5年以上あった場合でも、新規許可と同様の取り扱いとなる点に注意が必要です。
Q2. 新規設立法人で、特定建設業許可を取得する場合、資本金2,000万円、資本準備金2,000万円、合計4,000万円で要件を満たしますか?
A.
定款等の書類により、
- 資本金:2,000万円
- 資本準備金:2,000万円
- 純資産合計:4,000万円
が確認できれば、特定建設業の資本金要件を満たしていると認められます。
Q3. 特定建設業許可を受けた事業者が、許可後最初の決算で財産的要件を欠いた場合、一般建設業へ切り替える必要がありますか?
A.
特定建設業許可を既に受けている事業者については、途中で財産要件を欠いたとしても、すぐに許可が取り消されることはありません。
判断は、更新や業種追加申請時点で行われるため、直後の切り替え義務は発生しません。
財産要件の基準は、
- 既存企業:直前の決算期の財務諸表
- 新設企業:創業時の財務諸表
により判断されます。
ただし、決算後に増資等を行い基準を満たした場合には、その旨を証明できれば要件を充足したものとして扱われます。
なお、他の基準(欠損比率、流動比率、自己資本額)は別途満たしている必要があります。
Q4. 直前の貸借対照表で特定建設業許可の財産的要件を満たさない場合、増資で充足できますか?
A.
資本金額に関する要件については、増資を行うことで基準を満たすことが可能です。
ただし、その他の要件(欠損比率、流動比率、自己資本額)は直前の確定した貸借対照表に基づいて判断されるため、これらを増資のみで後追い修正することはできません。
Q5. 解散後3年以内に事業を再開した法人が資本金200万円以上ある場合、残高証明書は必要ですか?
A.
法人が解散決議後、3年以内に特別決議で事業を再開した場合でも、
- 直前決算期の資本合計が500万円以上であれば、残高証明書は不要です。
一方で、休眠会社の場合は直前の資本合計が確認できないため、500万円以上の残高証明書(発行後1ヶ月以内)が必要です。
Q6. 社団法人・財団法人の財産的基礎要件について、一般建設業と特定建設業それぞれどう確認しますか?
A.
① 財務諸表の取り扱い
- 貸借対照表の純資産の部は「正味財産」として記載します。
- 繰越剰余金は記載しません。
- 株主資本等変動計算書は不要(該当なし)。
- 附属明細表の提出も不要です。
② 一般建設業の要件
以下のいずれかを満たすことが必要です。
- 正味財産額(純資産額)が500万円以上
- 預金残高証明書(発行1ヶ月以内)で500万円以上
正味財産額が「資本金=自己資本額」となるため、基本的には貸借対照表の「正味財産合計」の欄で確認します。
③ 特定建設業の要件
以下の3項目すべてを満たす必要があります。
- 正味財産額(純資産額)が4,000万円以上
- 流動比率が75%以上
- 欠損比率が正であること(欠損がないこと)
✅ おわりに
財産的要件は、建設業許可の中でも「最初の壁」と言われる重要な審査項目です。
特に特定建設業はハードルが高く、決算書類の事前整備や増資計画の検討が必要になる場合があります。
「決算内容で要件を満たしているか不安」「業種追加時に必要な準備が分からない」といった場合は、必ず専門家へご相談ください。
📌 次回【第18回①】では「社会保険」について詳しく解説していきます。
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