
✅ はじめに
建設業の業種判断は、許可取得後の適法な営業に直結する大変重要なテーマです。特に複合工事や専門工事の線引きは、現場での混乱や指摘を防ぐためにも、正確な理解が欠かせません。
今回も、現場で多く寄せられる具体的な質問について、詳しく整理しました。
💬 Q&A|実務で頻出する業種判断のポイント
Q1. 電気工事の例示に避雷針工事が新たに加わりました。これまで鋼構造物工事とされてきた工事は今後どうなりますか?
A.
電気工事業者が避雷針工事を施行することが多い実態に合わせ、電気工事の例示に追加されました。
これにより、今後は電気工事の実績として認められるようになりましたが、従来通り鋼構造物工事の実績としても引き続き認められます。
したがって、鋼構造物工事業の許可を既に受けている事業者が、避雷針工事を行うために新たに電気工事業の許可を取得する必要はありません。
※国土交通省も同様の見解を示しています。
Q2. 定期点検や保守作業は建設工事に該当しますか?
A.
単なる定期点検や保守作業は、一般的には建設工事には該当しません。
ただし、建設業法第24条に定める通り、「いかなる名義によるかを問わず、建設工事の完成を目的として締結する契約」は建設工事の請負契約に該当します。
したがって、契約名称にかかわらず、工事の内容が「工作物の建設・改修・修繕等」に該当する場合は、建設工事と判断されます。
重要なのは、件名ではなく、契約内容で判断されるという点です。
Q3. 自社で機械部分を設置しない場合、機械器具設置工事にはなりませんか?
A.
機械器具設置工事には、すべての機械器具類の設置に関する工事が含まれます。
ただし、機械器具の種類によっては、
- 電気工事
- 管工事
- 電気通信工事
- 消防施設工事
といった他の専門工事に該当する場合があります。
これら専門工事に該当しない機械器具、あるいは複合的な機械器具の設置が、機械器具設置工事に該当します。
部品交換や既存機械への部材追加のみで済む場合は、機械器具設置工事には該当しません。
組立てや据付けなどにより工作物を新たに建設する、または工作物に機械器具を取り付ける工事が、機械器具設置工事として取り扱われます。
Q4. 給排水工事を別業者に任せ、ユニットバスのみ設置する場合、内装仕上工事と考えてよいですか?
A.
一般的に、浴室工事は配管工事を含むケースが多いため、「管工事」として判断されます。
しかし、配管工事を伴わず、設置のみを請け負う場合には、東京都では「とび・土工・コンクリート工事業」として扱われます。
ただし、各許可行政庁により解釈が異なる場合があり、内装仕上工事と判断されるケースも存在します。
また、組立て方法や施工範囲によっても判断が分かれるため、個別案件ごとに審査窓口へ相談することを強く推奨します。
Q5. 建設業法上の工事の定義を教えてください。
A.
建設業法上の「工事」とは、土地・建物・その他の工作物に関して行う建設、改造、修繕、解体などの行為を指します。
したがって、同じ「内装工事」でも、例えば
- ホテルの客室内装工事 → 建設業法上の工事に該当
- 豪華客船の客室内装工事 → 建設業法上の工事に該当しない
というように、施工対象が不動産か否かで区別されます。
Q6. 建築一式工事業の許可があれば、建築に関するどの工事も請け負えますか?
A.
建築一式工事業の許可を有していても、各専門工事の許可がなければ、500万円以上の専門工事を単独で請け負うことはできません。
(木造住宅の場合は1,500万円以上)
建築一式工事とは、原則として元請業者として総合的な企画、指導、調整を行う工事を指し、複数の専門工事業者が施工する大規模かつ複雑な工事が該当します。
これ以外の工事については、基本的に専門工事の許可が必要となりますので注意が必要です。
Q7. LAN工事が電気通信工事に該当する場合について教えてください。
A.
LAN配線工事について、
- 同一室内のみでの配線や接続作業 → 電気通信工事には該当しません。
- 他室・他階への配線を行う場合や、床・壁・天井内部にケーブルを固定・敷設する場合 → 電気通信工事に該当します。
また、床や壁へのカバー設置を伴う場合も、電気通信工事と判断される場合があります。
最終的な判断は、施工内容の詳細資料をもとに審査窓口で確認することが必要です。
Q8. 一式工事に該当する解体工事と、解体工事業に該当する工事はどう区別されますか?
A.
一式工事(建築一式工事または土木一式工事)に含まれる解体工事は、総合的な企画、指導、調整が必要な場合に該当します。
例えば、建物の解体と新築を一体で請負う場合は、建築一式工事となります。
一方で、単独で解体のみを請け負う工事については、解体工事業に該当します。
下請として解体のみを行う場合など、総合的な調整を要さない工事は、解体工事業の許可で施工が可能です。
✅ おわりに
業種判断は、「こうだろう」と思い込むと誤った許可取得や営業停止のリスクがあります。
公共工事や大手民間発注者では特にコンプライアンスが厳格化されており、許可区分の適合確認が求められるケースが増えています。
「許可業種で正しいか不安」「追加許可が必要かもしれない」と感じた際には、ぜひ専門家にご相談ください。
📌 次回【第17回】では「財産要件」について詳しくご説明します。
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