
✅ はじめに
建設業許可において「常勤性」は非常に重要な要件です。特に常勤役員等(経管)や営業所技術者等(専技)は、許可要件を満たす根幹的存在であり、要件が不十分な場合は申請が認められません。
本記事では、常勤性に関するよくある質問をQ&A形式でわかりやすく整理しました。
💬 Q&A|常勤性に関するポイント
Q1. 常勤・非常勤の判断基準となる報酬額の目安はありますか?報酬が年間130万円以上なら常勤と認められますか?
A.
建設業許可事務ガイドラインによると、常勤役員等とは、原則として本社などにおいて休日等を除き、毎日所定の時間中勤務に従事している者を指します。
報酬額(例えば年間130万円以上)を基準に常勤とする明確な規定はありません。報酬額のみで常勤性が決定されるわけではなく、健康保険証、住民税特別徴収など他の確認資料を含め総合的に判断されます。
Q2. 遠距離通勤者の場合、常勤性は認められますか?乗用車通勤の場合の資料は?
A.
お住まいが遠隔地にあると、毎日の通勤が困難と判断される場合があります。目安として通勤時間が概ね2時間を超える場合、別途資料が必要です。
電車通勤なら通勤定期券の写し、自動車通勤ならETC履歴等で毎日の通勤を確認できれば、常勤性が認められる場合があります。
Q3. 常勤役員等や営業所技術者が他法人の取締役や代表取締役を兼任できますか?非常勤証明は必要?
A.
以下の通り分けて考えます。
- 他法人の取締役兼任の場合(代表権なし)
申請会社で常勤性が確認できれば、他法人では非常勤と推定されます。健康保険の加入があれば、他法人での非常勤証明は不要です。 - 他法人の代表取締役兼任の場合
他法人で代表権を有するため、その法人でも常勤と推定されます。この場合、他法人に常勤の別代表取締役を置き、その法人から非常勤証明を取得する必要があります。また、登記事項証明書の提出が必要です。 - 専技の場合
代表取締役を兼務する場合、専技として認めるには特に厳格な要件があり、別の代表取締役を置き、非常勤証明を取得する必要があります。場合によっては代表辞任も検討します。
Q4. 後期高齢者で健康保険加入がない場合、常勤性の確認方法は?
A.
後期高齢者医療保険証の写し、確定申告書、住民税課税証明書等により個人収入を確認します。住民税特別徴収ができない場合は、出勤簿、日報、工事台帳、通勤定期券等を用意し、営業所に常勤していることを示す補足資料の提出が必要です。
Q5. 経営経験や実務経験の確認で、証明者が建設業許可を有している場合、建設業許可申請書及び変更届でしょの写しが必要となっていますが、無い場合はそうすればいい?
A.
原則として申請書及び変更届出書の写しが必要です。東京都で確認可能な許可番号が判明していれば、提出を省略できる場合もあります。ただし確認できない場合は提出が必須です。
Q6. 過去に常勤役員等(経管)や営業所技術者(専技)であった場合、経歴書の省略はできますか?
A.
副本(受付印のあるもの)により確認できる場合、その写しを提出すれば、請求書や工事資料等の確認資料を省略できます。
Q7. 以前の勤務先経管や専技で登録が残っている場合、新たな登録はできますか?
A.
できません。建設業情報管理システムで全国的に管理されているため、重複があれば新規登録は不可です。退職届、変更届の写しを提出し、重複が解消されてから申請してください。
Q8. 出向者が常勤役員等や専技になる場合、必要な確認資料は?
A.
出向者の場合、前任者・新任者の交代時点で申請会社に勤務していたことを確認する必要があります。以下の資料が求められます。
- 出向元と申請会社の間で締結した出向協定書(出向期間、費用負担などを記載)
- 出向者が申請会社で勤務していることを示す費用分担の請求書および入金資料(交代時点より直前3ヶ月分、新規出向者の場合は1ヵ月分)
- 出向経費が含まれる場合には内訳資料
これらの資料を用意できれば、常勤性が認められます。郵送での提出も可能ですが、補正や追加説明を求められる場合がありますので注意が必要です。
Q9. 職員が全員出向者の場合、許可取得は可能ですか?
A.
常勤役員等、直接補佐者、専技が全員出向者でも、許可の取得自体は可能です。しかし、建設工事を請け負う際には「主任技術者」や「管理技術者」を現場に配置する必要があります。
これらの技術者は原則として建設業者との直接かつ恒常的な雇用関係が必要とされるため、出向者は該当しません。したがって、許可を取得しても工事の請負はできません。許可取得後の運営に重大な支障が出る点に注意してください。
Q10. 外国での経営・技術経験は常勤役員等や専技の経験として認められますか?
A.
国土交通大臣が別途申請に基づき認めた場合に限り、経験として認められます。
Q11. 国土交通大臣の認定はすべての外国人が対象ですか?
A.
国土交通大臣が別途申請に基づき認めたものは、外国人に限られるわけではありません。日本の資格や経験と同等であることが必要で、これを検証するために申請が必要です。
例えば、日本の大学を卒業した外国人は対象外ですが、外国の企業で役員経験がある場合などは対象となる可能性があります。詳細は国土交通省土地・建設産業局国際課に問い合わせてください。
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次回は「【第15回】営業所編」をお届けします。営業所要件についてご案内します。
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