第6回:家族信託の流れと手続きのポイント

こんにちは。東京都北区亀田行政書士事務所のです。
今回のテーマは「家族信託の具体的な手続きの流れ」について解説します。

「家族信託を利用したいけど、何から始めていいか分からない」
「信託契約書はどう作るのか」「公証役場での手続きは?」
といった疑問をお持ちの方に、家族信託の設計から契約、運用、終了までの全体像を分かりやすく説明いたします。

家族信託の利用ステップ

Step1:専門家への初回相談

まずは、家族信託に詳しい専門家に相談しましょう。
家族信託は、相続対策、認知症対策、財産管理など多岐にわたる課題を解決するための制度です。

この段階では、以下のような内容をヒアリングし、大まかな方向性を検討します。

  • 信託の目的(認知症対策、事業承継、障がいのある家族の生活支援など)
  • 財産構成(不動産、預貯金、有価証券など)
  • 信託に関わる家族構成と相続の希望
  • 想定されるリスク(家族間トラブル、相続税評価など)

Step2:親族会議の開催

信託の方向性がある程度決まったら、家族・親族で会議を行い、財産の現状や希望を共有します。

主な確認事項は以下の通りです。

  • 財産の内容(例:不動産の所在地・評価、有価証券の銘柄と評価)
  • 財産管理の要否(収益不動産など)
  • 現状の収支バランス(年金、医療費、固定資産税など)
  • 委託者の希望するライフプラン(自宅に住み続けたい、孫に残したい等)
  • 誰に何をどれくらい託したいのか(遺言との違いも認識)

家族会議では、信託財産の範囲や、信託の期間・終了条件誰が受託者になるかなどを相談しながら決めていきます。

👉 すべての財産を信託に含める必要はありません。
たとえば、代々受け継いできた土地などは信託外財産として残すことも可能です。

納得いくまで何度も話し合うことが、後のトラブル防止にもつながります。

Step3:信託契約の設計依頼

親族間での合意が取れたら、専門家に信託契約書の設計を依頼します。
この契約書には以下の要素が含まれます。

  • 委託者、受託者、受益者の特定
  • 信託財産の明確化
  • 信託の目的と終了条件
  • 財産管理・処分権限(賃貸・売却等)
  • 信託報告の義務
  • 精算受託者の指定 など

Step4:公証役場への書類提出

信託契約書が完成したら、公正証書で作成するため公証役場に提出します。
必要書類は以下の通りです。

  • 信託契約書案
  • 委託者・受託者の戸籍謄本、住民票、印鑑証明書
  • 信託財産に関する資料(不動産登記簿謄本、評価証明書など)

公正証書作成のための日程は、役場に予約を入れてから約3週間かかることが多いため、家族会議・設計を含めて全体で2〜4ヶ月程度かかると想定しておくと良いでしょう。

Step5:公正証書の作成

作成当日は以下を持参してください。

  • 提出資料の原本
  • 身分証明書
  • 手数料(下記参照)

【公正証書作成手数料目安】

信託財産の価額手数料
100万円以下5,000円
200万円以下7,000円
500万円以下11,000円
1,000万円以下17,000円
3,000万円以下23,000円
5,000万円以下29,000円
1億円以下43,000円

※入院等で公証役場に行けない場合、出張作成も可能です(別途出張費が必要)

信託の運用開始後の注意点

金銭管理:信託口口座の開設

受託者は、信託財産と自己財産を分別管理しなければなりません。口座の作成方法は2通りあります。

  1. 信託専用口座(受託者名義)
    簡単に作成可能ですが、受託者に万が一があった際に凍結リスクがあります。
  2. 信託口口座(信託契約書に基づく専用口座)
    次の受託者へスムーズに引き継げるメリットがあります。

信託口口座を推奨します。私文書契約では作れないため、公正証書での作成が重要です。

不動産管理:登記・通知・契約

  • 信託契約に基づき、不動産の登記を受託者名義に変更します。
  • 賃貸管理会社・賃借人への通知を行い、家賃受け取り先も信託口口座へ変更。
  • 固定資産税は、収益不動産は収益から、自宅等は預貯金から支払うことが一般的です。

税務:信託計算書の提出

受益者ごとの年間収益が以下を超える場合、税務署へ信託計算書の提出が必要です。

  • 通常:年間3万円以上
  • 信託期間1年未満:15,000円以上

信託の終了と清算

① 死亡終了型

委託者または受益者の死亡により信託が終了するケース。

② 合意終了型

家族の合意で任意に終了可能。特に孫の代などが受益者になった場合に有効です。

信託終了時には、受託者が信託財産を精算し、残余財産を帰属権利者に引き渡します。
多くの場合、受託者がそのまま精算受託者を兼ねます。

信託終了後の税務書類の提出(例外あり)

以下の条件に当てはまらない場合、受託者は信託に関する受益者別調書および合計表を税務署へ提出します。

  1. 残余財産の帰属権利者が直前の受益者である
  2. 信託財産の評価額が50万円以下
  3. 残余財産が存在しない

➡ 提出期限は、信託終了月の翌月末です。

まとめ

家族信託は、法務・税務・心理的配慮が必要な専門的制度です。
亀田行政書士事務所は、信頼できる専門家と連携し、設計・契約・運用・終了まで正確に行うことで、家族の未来を守る有効な手段となります。

次回の第7回では、「家族信託における一般的な税務処理」について詳しくご説明いたします。

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