相続 認知症対策|土日・夜相談可能 亀田行政書士事務所

認知症に伴う判断能力の低下によって「できなくなること」

認知症の進行により判断能力が低下すると、次のような法律行為が本人単独ではできなくなります。

  • 預金口座の管理
     判断能力が低下すると、金融機関により口座が凍結され、預金の引き出しや振込等の手続きが一切できなくなります。
  • 不動産の売却や処分
     不動産の名義人が本人であっても、契約行為が本人の意思に基づくものであることが確認できない場合、売却等の処分行為は認められません。
  • 中小企業等の自社株に関する権利行使
     経営に関わる株主総会での議決権の行使、株式の譲渡などの行為も、本人の意思能力がなければ実行できません。
  • 相続手続き(遺言書作成、遺産分割協議や相続放棄など)
     法定相続人であっても、本人の意思が確認できない場合、遺産分割協議書への署名や相続放棄等の手続きは無効とされます。

これらの行為は、すべて「本人の意思能力・判断能力」がなければ成立しないため、認知症発症後には実行が極めて困難となります。

一般的な対策とそれぞれの問題点

① 生前贈与

財産の一部を元気なうちに家族に贈与する方法です。しかし、次のような税負担が生じます:

  • 贈与税
     年間110万円を超える贈与については、受贈者に贈与税が課されます。
  • 不動産取得税・登録免許税
     不動産を贈与する場合、不動産取得税のほか、名義変更に必要な登録免許税も発生します。

② 親族や不動産会社への売却

不動産を売却する方法ですが、以下のようなコストや問題点があります:

  • 譲渡所得税
     不動産を売却して得られた利益(譲渡益)に対して課税されます。
     特に、先祖代々の不動産のように「取得価格が不明」または「極端に低い」場合、譲渡益が非常に高額となり、高率の税負担が生じるおそれがあります。
  • 登録免許税・不動産取得税
     贈与と同様、登記変更や取得に伴う税負担が発生します。

③ 代理人制度(委任状)

委任状を用いて家族等が代行する方法もありますが、以下のような限界があります:

  • 本人確認義務の制限
     近年では、金融機関を中心に「犯罪収益移転防止法」に基づき厳格な本人確認が求められています。
     そのため、委任状を提示しても「本人が手続き意思を持っているか」が確認できない場合は、代理行為が認められないケースがあります。

④ 成年後見制度(任意後見・法定後見)

判断能力が低下した後に、裁判所を通じて後見人を選任する制度です。しかし以下の制約があります:

  • 柔軟な財産管理ができない
     後見人の行為は後見監督人や家庭裁判所の監督下に置かれ、自由な資産運用や相続税対策などが難しくなります。
     また、総資産が1,000万円を超える場合や、相続人関係が複雑な場合、親族が後見人になれないことがあります。その場合、専門職後見人(弁護士や司法書士等)が選任され、報酬も発生します。

⑤ 遺言書や死因贈与

相続対策として利用される制度ですが、認知症対策としては不十分です:

  • 死亡後に効力が発生する
     遺言や死因贈与契約は、いずれも本人が死亡して初めて効力が生じるため、生前の財産管理・承継には対応できません。
  • 資産の変動に対応できない
     例えば遺言書に「○○不動産を長男に相続させる」と記載していても、生前にその不動産を売却してしまった場合、その指定は無効になります。
  • 二次相続(孫への継承等)ができない
     遺言では一代限りの承継指定に限られ、孫や曾孫への継承を連続的に指定することは原則できません。
  • 遺言の柔軟性の欠如
     遺言者が心を込めて作成した内容であっても、相続人全員の合意があれば内容を変更することも可能であるため、確実な資産承継とは言えません。

【まとめ】判断能力の低下に備えるなら「今」が最善のタイミングです

認知症が進行すると、日常の財産管理や相続手続き、不動産の売却など、法的な行為の多くが本人の意思だけではできなくなります。
そしてそれは、ある日突然「できなくなること」として家族に大きな負担を残します。

昨今はAIによる情報提供も盛んですが、個々の家庭の状況や財産構成、親族関係に応じた判断や対応は、AIだけでは賄いきれない領域です。
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