アパートオーナーの相続対策|土日夜相談可能 亀田行政書士事務所

〜認知症リスクに備える、柔軟で現実的な手段〜

■ はじめに

近年、相続対策の一環として「家族信託」を検討される不動産オーナーが増えてきました。特に、アパートや駐車場などの収益物件を保有し、今後の資産の組み換えや管理を子世代に任せたいと考えるオーナーにとって、認知症による判断能力の低下は避けて通れない大きなリスクとなります。

本記事では、アパートオーナーの相続対策の事例(例示)をもとに、家族信託を活用することでどのようなメリットがあるのかを具体的にご紹介します。

■ アパートオーナーが抱えていた状況

ある不動産オーナーである父(委託者)は、以下のような相続対策を考えていました。

  • 相続対策として、アパートや駐車場の売却などによる資産の組み換えを予定している
  • 遊休地を活用して、マンションやアパートの建築を検討している
  • 孫夫婦が自分の土地に自宅を建てる計画がある
  • 手続きが煩雑なので、息子(長男)に不動産や資産管理を任せたい

こうした中で、もし父が認知症を発症してしまった場合、次のような重要な契約行為が一切できなくなるというリスクが浮上しました。

■ 認知症になるとできなくなること

  • 不動産の売買契約
  • アパート等の新規賃貸契約、管理会社とのやりとり
  • 修繕や建替えに関する工事契約
  • 収益物件の売却
  • 銀行との担保設定や融資契約
  • 建物建築請負契約 など

認知症により判断能力が失われると、法律行為を行う能力(意思能力)を失い、これらの契約行為が一切不可能になってしまいます。

■ 解決策:家族信託の活用

そこで、父は元気なうちに家族信託契約を長男と結ぶことにしました。以下のように、信託契約を工夫することで、認知症後でも柔軟な資産管理が継続可能になります。

◉ 信託契約の概要

  • 信託財産:父が保有するアパート、預貯金の一部、有価証券
     ※自宅は信託財産としない
  • 受託者:長男
  • 受益者:父(信託期間中、収益を得る権利は父にある)
  • 信託終了事由
     1. 父の死亡
     2. 受託者・受益者の合意による信託終了
  • 残余財産の帰属権利者:父死亡時は長男、合意終了時は最終受益者

■ 家族信託で実現できること

① 認知症後でも資産の組み換えが可能に

家族信託を結んでおけば、仮に父が認知症を発症した後でも、長男(受託者)が父の代わりに信託財産の管理・処分を行うことができます。
信託契約で定められた財産の他、売却代金や賃料収入、そのお金で購入した新しい不動産も信託財産に含まれます(信託法第16条第1項)。

つまり、長男は以下のような運用を続けることができます。

  • アパートの売却
  • 売却代金で新たな収益物件の購入
  • 収益物件の賃貸管理や修繕契約 など

② 売却後の資金も信託口で管理可能

売却によって得た金銭は、信託口口座に入り、引き続き長男が管理することが可能です。これにより、相続発生直前まで柔軟な資産運用・組み換えが継続できます
成年後見制度ではこのような積極的な運用は原則認められておらず、信託の大きなメリットです。

③ 父の死亡後、スムーズに財産承継へ

信託契約では、信託終了時の残余財産の帰属先をあらかじめ定めておくことができます。
たとえば、「父死亡時に長男に帰属する」と定めておけば、相続手続きの対象外としてスムーズに資産承継が行えます。

■ 遺言との違いにも注意

遺言との大きな違いは、信託は生前から発効する契約であるという点です。
たとえば、遺言作成時には「駐車場とアパートがある」としても、その後認知症を患い施設に入っている間に資産が売却されてしまえば、遺言内容は事実と合わなくなり、実質的に意味をなさなくなります。

一方、信託であれば「残余財産の帰属権利者=長男」と設定しておけば、遺言の有無や内容の変更があっても、信託財産はその通りに長男に承継されます。

■ まとめ:家族信託は「第三の相続対策」

このように、家族信託は遺言成年後見制度とはまったく異なる発想で、柔軟かつ実務的に資産の承継を実現できる仕組みです。

  • 相続対策として資産の組み換えや売却を予定している
  • 将来の認知症リスクを考慮し、家族に財産管理を任せたい
  • 柔軟な資産承継を実現したい

このような方には、家族信託の活用は非常に有効な選択肢となります。

不動産オーナーである皆様にとって、将来のリスクに備えた確かな資産管理手段として、家族信託をぜひご検討ください。

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