【遺産分割協議書のパターン集】不動産は長男へ、借金は次男が原因…そのときどう分ける?

こんにちは。
相続・遺言・信託を専門に扱う亀田行政書士事務所です。

今回は、実際にありそうな「不動産+借金がある相続」の事例をもとに、
遺産分割協議書の作成パターンを複数ご紹介します。

「相続財産が不動産しかないのに借金がある」
「借金の原因が兄弟の一方にある」
そんな複雑な相続トラブルでも、円満に解決する糸口が見つかるかもしれません。

■ 事例の概要

  • 被相続人:父(死亡)
  • 相続人:長男・次男(母はすでに死亡)
  • 相続財産:
    • 土地付き建物(実勢価格:900万円)
    • 預貯金なし
    • 借金800万円(父の施設費用だったが、年金を管理していた次男が使い込み)
  • 遺言書の内容:不動産は長男に相続させたい

■ 法的整理:相続財産とその分け方

まず、基本ルールを押さえましょう。

  • 積極財産(プラスの財産)=土地建物900万円
     → 遺言や遺産分割協議で分け方を決定できます
  • 消極財産(マイナスの財産)=借金800万円
     → 各相続人が法定相続分で引き継ぐ(原則)

つまり、このケースでは:

  • 長男:相続分1/2 → 借金400万円を相続
  • 次男:相続分1/2 → 借金400万円を相続

ただし、話し合いによって柔軟に分けることが可能です。
ここで重要なのは、遺言で不動産は長男に相続させたいという意思と、
借金の原因が次男にあるという事情です。

■ 遺産分割協議のパターン集

◆パターン1:遺言通りに長男が不動産取得、借金は折半

  • 長男が土地建物(900万円)を取得
  • 借金800万円は1/2ずつ法定相続分で負担

📄協議書例:
「長男は不動産を取得し、借金のうち400万円を承継する。次男も同額の借金を負担する。」

→ シンプルだが、次男は納得しない可能性が高い(自身の責任に言及されるため)

◆パターン2:長男が不動産+借金全額を引き受ける代わりに、次男は何も取得しない

  • 長男:不動産(900万円)+借金800万円
  • 次男:相続放棄に近い形(取得なし)

📄協議書例:
「長男は不動産を取得し、借金800万円すべてを承継する。次男は一切の財産を取得しない。」

→ **次男が合意すれば現実的。**実質的に、長男が負担を背負う代わりに、分割争いを避ける形。

◆パターン3:長男が不動産、次男が借金全額を負担

  • 長男:土地建物(900万円)
  • 次男:借金800万円

📄協議書例:
「長男は不動産を取得し、次男は借金800万円を単独で承継する。」

現実的には難しい(債権者に対しては効力なし)。
ただし、当事者間の合意として協議書に残す価値あり
→ その後、次男が長男に債務返済を請求してこないようにする対策として有効。

◆パターン4:長男が不動産+600万円借金、次男が200万円借金を負担(按分案)

  • 長男:土地建物(900万円)+借金600万円
  • 次男:借金200万円

📄協議書例:
「長男は不動産を取得し、借金800万円のうち600万円を承継。次男は200万円を承継する。」

→ 「不動産分が多いから、その分借金を多めに引き受けて調整する」現実的な妥協案。

◆パターン5:遺産分割協議と併せて「債務引受契約」や「贈与契約」を締結

  • 単なる協議書だけでなく、別途契約を交わして明確化
  • 例:次男が長男に「不動産を贈与された」として借金を全額負担する代償として文書化

→ 税務上の整理が必要。贈与税や譲渡所得課税に注意。専門家のアドバイスが必須。

■ 遺留分についての注意点

本事例では、次男にも遺留分(法定相続分の1/2)=1/4が認められます。
つまり、不動産900万円 × 1/4 = 225万円相当の遺留分侵害額請求が可能です。

ただし、次男が原因で借金が増えている点や、相続分以上の借金負担をしていれば、
実質的には請求を避ける交渉材料にできます。

■ まとめ:不動産しかない相続は「交渉力と文書力」が重要

今回のように、

  • 不動産しかない
  • 借金が多い
  • 兄弟間で責任の所在に差がある

というケースでは、単純な相続分割では解決できません
きちんと話し合い、当事者間で納得できる協議書を文書で残すことが大切です。

行政書士として、法的効力がありつつも感情面も踏まえた
実務的な落とし所をご提案できます。

📌相続で揉めそう…どうすれば?
📌不動産しかない相続、どう進める?
📌兄弟間の借金問題を整理したい

そのようなときは、お気軽にご相談ください。

東京都北区 亀田行政書士事務所

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