
こんにちは。
東京都北区の亀田行政書士事務所です。
当ブログでは、「家族信託」を中心に相続・高齢者支援の制度をわかりやすく解説しております。
第5回となる今回は、2020年に施行された比較的新しい制度である「配偶者居住権」と、「家族信託」との違いや使い分け方について、具体例を交えて詳しくご紹介します。
配偶者居住権とは?|2020年施行の新制度
配偶者居住権とは、2020年の民法改正により創設された制度で、相続開始後も配偶者が自宅に“住み続ける権利”を得られる仕組みです。
高齢の配偶者にとって「住み慣れた家にそのまま住み続けられること」は精神的にも経済的にも大きな支えとなります。
配偶者居住権の仕組みを事例で解説
以下のような家族構成と財産状況を例に、配偶者居住権の意義を見ていきましょう。
▷ 家族構成:
- 父(被相続人)
- 母(相続人)
- 子(相続人)
▷ 相続財産:
- 土地:2,000万円
- 建物:1,000万円
- 現金:1,000万円
→ 合計:4,000万円
▷ 法定相続分:
- 母:2,000万円
- 子:2,000万円
ここで、母がそのまま住み続けるために土地建物(計3,000万円)を希望しても、法定相続分は2,000万円のため、差額1,000万円分が不足してしまいます。
また、仮に土地建物を相続できたとしても、現金が残らなければ生活費が不足し、母の暮らしが困窮する恐れもあります。
▷ さらにこんな事情があると複雑に:
- 子が前妻との子どもである
- 母と子が不仲である
このようなケースでは、相続トラブルの火種にもなりかねません。
配偶者居住権を活用するとどうなる?
このような場合に配偶者居住権を活用すると、次のような財産分けが可能です。
項目 | 母(配偶者) | 子 |
---|---|---|
敷地利用権 | 1,000万円 | – |
配偶者居住権(建物部分) | 500万円 | – |
建物所有権 | – | 500万円 |
敷地所有権 | – | 1,000万円 |
現金 | 500万円 | 500万円 |
このように分けることで、
- 母は住む家と生活費を確保
- 子は所有権を取得し、将来的な財産の引き継ぎが可能
となり、双方が納得しやすい相続設計ができます。
▷ 配偶者居住権の終了後は?
母が亡くなった時点で配偶者居住権は消滅し、土地・建物の所有権は子に完全に戻ります。このように、配偶者→子へと権利が移っていく構造は、家族信託の「受益者連続型信託」に類似しています。
家族信託と配偶者居住権の違い
両者には似た機能もありますが、実務上の使い方や制度上の制限に違いがあります。
比較項目 | 配偶者居住権 | 家族信託 |
---|---|---|
制度開始年 | 2020年(民法改正) | 2007年(柔軟設計) |
売却の可否 | 配偶者単独では不可 | 受託者が単独で可能 |
権利の対象 | 自宅不動産のみ | 任意の財産全般に適用可 |
形式要件 | 登記等が必要 | 信託契約で有効 |
内縁関係への適用 | 不可(婚姻関係必須) | 可能(契約自由) |
相続税評価 | 原則あり(評価額が低下) | 個別ケースで要注意 |
こんな場合は家族信託が有効です
- 内縁の妻にも住居を確保してあげたい
- 自宅以外の財産(預貯金や有価証券)も含めた管理が必要
- 将来的に不動産を売却して施設費用に充てたい
- 判断能力が低下する前に、広範な財産管理体制を整えたい
このような目的がある場合は、柔軟に設計できる「家族信託」の方が適していることが多くあります。
制度の目的と使い分けがカギ
大切なのは、制度の名前や話題性ではなく、
- 誰を守りたいのか
- どんな財産をどう管理したいのか
- 将来にわたってどのようなリスクがあるのか
といった具体的な目的に合わせて制度を選ぶ・組み合わせることです。
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次回(第6回)は、
「家族信託の具体的な流れ(契約・登記・運用)」について実務の視点から解説いたします。
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