
こんにちは。
東京都北区の亀田行政書士事務所です。
前回は「家族信託と成年後見制度」の違いについてご紹介しました。
今回のテーマは、相続対策として広く知られている「遺言(遺言書)」と「家族信託」の違い、そして併用のメリットについて解説します。
遺言書はなぜ必要か?|相続トラブルを防ぐための第一歩
「うちは法定相続分で分ければいいから、遺言書は必要ない」とお考えの方も多いかもしれません。
たしかに、遺産が預貯金だけであれば、それほど揉めずに分割できることもあります。
しかし、相続財産に不動産や株式などの分けにくい資産が含まれている場合、話は変わってきます。
たとえば…
- 「土地は長男に、現金は次男に」と決めたくても、不動産の評価基準(路線価か実勢価格か)で結論が出ない
- 「自分は親の介護をしてきたから多くもらいたい」と主張される
- 相続人ごとに思いが異なり、遺産分割協議がまとまらない
こうしたトラブルを防ぐためにも、遺言書を事前に作成しておくことで、相続手続きが非常にスムーズになるのです。
なお、法定相続分よりも少ない割合を指定された相続人は「遺留分侵害額請求(旧・遺留分減殺請求)」ができるため、完全にトラブルを回避できるわけではありませんが、それでも遺言書があるだけで進行が大きく変わります。
遺言の限界|財産の管理・運用までは指定できない
遺言は、「誰にどの財産を渡すか」という相続の配分(帰属先)を指定するツールです。
ですが、以下のような場面では限界があります。
■ 例1:障がいをもつ子への相続
障がいを持つ子に財産を遺す場合、遺言で「この不動産を渡す」とは指定できますが、その後の管理・運用方法までは遺言で定めることができません。
この場合、たとえば健康な兄弟を受託者とする「家族信託」を併用することで、その財産を障がいのある子のために継続的に管理・活用することが可能になります。
■ 例2:配偶者への一時的相続と親族への継承
たとえば、子のいない夫婦で、夫が自分の先祖代々の土地を「自分の死後は妻に相続させ、妻の死後は自分の兄弟に戻す」と遺言で定めても、妻が再び別の遺言書を作り直せば、その内容は変更されてしまいます。
つまり、遺言では「次に誰が相続するか」まで拘束力をもって指定できないのです。
しかし家族信託であれば、「受益者連続型」の設定により、
- 第1受益者:妻(夫の死後に利益を受ける人)
- 第2受益者:夫の兄弟(妻の死後に利益を受ける人)
といったように、信託財産の流れを長期にわたって指定できるため、柔軟で確実な財産承継が実現します。
遺言と家族信託の違い・使い分け
比較項目 | 遺言 | 家族信託 |
---|---|---|
誰に財産を渡すかの指定 | ○ | ○ |
財産の管理・運用の指定 | × | ○(契約で自由に設定可能) |
死後の財産の流れの指定(二次相続) | × | ○(受益者連続型) |
障がいをもつ子への長期的支援 | △(帰属のみ可能) | ○(柔軟な運用可能) |
家族間のトラブル防止 | △(遺留分侵害の可能性あり) | ○(管理面で主導権を持てる) |
遺言と家族信託は併用がベスト
遺言も家族信託も、どちらか一方ではカバーしきれない側面があります。
- 遺言で「財産の配分(信託財産以外の預貯金等や、売り渡したくない代々引き継いだ土地など)」を明確にし、
- 家族信託で「その後の管理・活用方法」を指定する
このように併用することで、より確実でトラブルの少ない相続対策が可能になります。
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次回(第4回)は、「家族信託と委任契約の違い」についてお届けします。
成年後見と似たような契約に見える「委任契約」がどこまで対応できるのか?信託との違いを実例を交えて分かりやすく解説します。
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