
〜「認知症の配偶者にすべて遺したい」という願いを叶える仕組み〜
背景と課題:家族構成と状況
家族構成
- 父(財産の所有者)
- 母(認知症・判断能力の低下)
- 長男(別居、将来的に財産管理を担う立場)
財産内容
- 自宅(夫婦で暮らしている)
- 賃貸アパート(家賃収入あり)
- 金融資産(1,000万円以上)
父の希望
「自分に万が一があったとき、すべての財産は母に相続させたい。ただし母は認知症で、自分で管理・運用ができないため、長男に託してしっかりと母を支えてほしい」
家族信託の活用スキーム
信託の設計内容
区分 | 内容 |
---|---|
委託者 | 父 |
受託者 | 長男 |
第一次受益者 | 父(生前の家賃収入や運用益) |
第二次受益者 | 母(父の死後の家賃収入など) |
信託財産 | 自宅・賃貸アパート・父の残る金融資産(母が使い切れない程度の額を信託化) |
信託期間 | 母が亡くなるまで |
残余財産の帰属先 | 長男(または父の遺言により最終指定) |
この信託の効果
✅ 母に財産を「相続」させつつ、管理は長男が担当
母が受益者となることで、家賃収入や信託財産の果実は母のために使うことができます。一方で賃貸経営や金融資産の運用などの実務は長男が行うため、母が認知症であっても資産の有効活用が可能です。
✅ 自宅の売却や施設入所費の確保にも柔軟に対応
母が施設入居する場合でも、長男が受託者として自宅を売却し、母の生活資金に充てることができます。成年後見制度を使わずとも柔軟な対応ができる点が大きな利点です。
信託だけではカバーしきれない点とその対応
● 成年後見制度の併用
家族信託は「財産管理」に限られ、母の医療同意・介護契約・施設入居の契約締結などは担保されません。
そのため、母の後見人として長男を選任するために法定後見制度の申立てが必要となるケースがあります。
- 【例】母の施設入所時に、重要な契約を結ぶ必要がある場合
- 【ポイント】家族信託と後見の役割分担を意識することが重要です
- 信託:財産管理
- 後見:身上監護・法的代理
※このケースでは、「母の判断能力はすでに低下している」ため、任意後見契約は利用できず、法定後見の申立てが現実的です。
● 公正証書遺言の作成の必要性
信託では、信託した財産しか管理できません。父が使っていた金融資産の一部や未信託の財産、自動車や家具・美術品などについては、別途「遺言」による承継指示が必要です。
- 【例】
- 「信託しなかった預金残高」
- 「父が使っていた車や不動産」
- 【対策】遺言で明示的に相続人を指定し、遺産分割協議を避ける
さらに、信託契約上の「残余財産の帰属先」と「遺言の記載」が矛盾しないよう調整する必要があります。
補足:相続税対策としての実務ポイント
父→母へすべての財産を相続させた場合、「配偶者の税額軽減」によって相続税はほぼかかりません。しかし、母が亡くなった後に再び相続が発生し、母の名義で高額な財産が残ってしまうと、長男への相続時に重い相続税が発生します。
- ✅ 生前贈与、養子縁組、または家族信託による「第二次相続対策」も同時に検討すべきです。
- ✅ 信託契約を2本に分けることで、母の信託と長男への信託承継を分離管理することも可能です。
まとめ:認知症の配偶者に「想い」を確実に届けるために
手法 | 役割 |
---|---|
✅ 家族信託 | 管理を長男に任せつつ、母に収益を確実に届ける |
✅ 成年後見(法定) | 医療・介護・契約面での代理を確保 |
✅ 遺言 | 信託対象外財産の承継と最終的な帰属を明示 |
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