【第2回】家族信託と成年後見制度の違いを徹底比較|東京都北区 亀田行政書士事務所

こんにちは。
東京都北区の亀田行政書士事務所です。
前回のブログ(第1回:家族信託の概要)では、家族信託の仕組みや用語、特徴について解説しました。

今回は、認知症対策や老後の財産管理として検討されることが多い「成年後見制度」と「家族信託」を比較しながら、制度の違いや使い分けについて詳しくご紹介します。

成年後見制度には2つの種類がある|法定後見と任意後見

まず、「成年後見制度」と一口にいっても、実は以下の2つのタイプが存在します。

■ 法定後見制度とは?

すでに認知症・知的障害・精神障害などにより判断能力が低下している方(被後見人)を支援する制度です。家庭裁判所に申し立て、裁判所が選任した後見人が、本人の代わりに財産管理や法律行為の代理を行います。

■ 任意後見制度とは?

現在は判断能力があるけれど、将来に備えて自分が信頼する人に財産管理などを任せる契約を公正証書で結んでおく制度です。
ただし、契約を結んだだけでは効力は発生せず、後に本人の判断能力が低下した場合に、家庭裁判所に申し立てて任意後見監督人が選任されてはじめて任意後見が開始します。

このように、「法定後見」はすでに判断能力が低下している人向け、「任意後見」は将来に備える制度であることを覚えておきましょう。

比較表で見る「法定後見」「任意後見」「家族信託」の違い

比較項目法定後見任意後見家族信託
①利用方法判断能力が低下してから家庭裁判所に申立て判断能力があるうちに公正証書で契約し、能力低下後に監督人を選任判断能力があるうちに信託契約を締結(多くは公正証書)
②存続期間後見開始から本人死亡まで任意後見監督人選任から本人または受任者死亡まで契約で開始時期・終了時期を自由に設定可能(受益者連続型も可能)
③権限や内容財産管理、法律行為の代理・取消・同意代理権は契約で設定。取消・同意権はなし受託者が財産管理・運用を行う。任意後見との併用も可能
④財産運用本人のための必要支出に限定。積極的な投資や生前贈与は不可法定後見と同様だが、契約で範囲を指定可能賃貸管理、修繕、有価証券運用など、契約の範囲で広範な運用が可能
⑤自宅等の処分家裁の許可があれば可能善管注意義務があれば可能。家裁の許可不要契約の権限内で自由に処分可能
⑥本人の契約に対する対応取消し可能(後見)。保佐・補助では制限あり取消し不可取消し不要。そもそも受託者が管理するので問題が起きにくい
⑦本人死亡後の処理死亡で終了。以後は相続人が対応死亡で終了信託が継続するので、財産凍結せずに管理継続可(例:障がい者の生活支援)
⑧監督機関家庭裁判所(後見監督人がつく場合あり)任意後見監督人が監督任意で信託監督人を設定可能(契約により)
⑨報酬家裁が決定(月3~8万円が一般的)契約により設定(月1~5万円が多い)信託契約により自由に設定可能
⑩ランニングコスト監督人あり:高め。親族後見人なら抑えられる契約による。信託よりやや高い受託者が家族ならほぼ無料。専門家を使う場合は有料設定可

成年後見と家族信託の実務的な違い一覧

実際にどのような場面で差が出るのか、以下の表にまとめました。

実務項目成年後見(法定・任意)家族信託
A:入院手続き・介護認定申請○(代理可)×(ただし家族が受託者なら可能)
B:預貯金の引き出し○(信託財産にした分のみ)
C:自宅の売却○(法定は家裁の許可が必要)○(契約に基づき可能)
D:賃貸借契約(貸主)
E:有価証券の運用×○(不動産投資やリノベーションも可能)
F:貸金庫の開扉×
G:保険金の受領(本人が受取人)×
H:扶養家族への生活費・教育費支出

このように、家族信託は柔軟性と即時性に優れた制度である一方、本人の身上監護(医療・福祉)については後見制度のほうが適しています。そのため、家族信託と任意後見制度を併用するケースが非常に増えているのです。

まとめ|家族信託と成年後見制度、どう使い分ける?

対象おすすめ制度
財産管理を柔軟に行いたい家族信託
不動産の賃貸管理や売却も含めたい家族信託
医療・福祉の手続きも必要任意後見
判断能力がまだある家族信託・任意後見の併用
判断能力がすでに低下している法定後見(どうしても本人の財産処分が必要な場合にして下さい)

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家族信託や後見制度は、それぞれ長所と限界があります。状況に応じて制度を単独で使うのか、併用するのかを見極める必要があります。

当事務所では、実務経験と資格(行政書士・宅建士・電気工事士・自動車整備士など)を活かし、法務・不動産・相続・契約設計までワンストップで対応可能です。

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次回(第3回)は、遺言書との比較をお届けいたします。家族信託と遺言、どちらを使うべきか迷っている方は、ぜひご覧ください。

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