
こんにちは。亀田行政書士事務所です。
本日から数回にわたり、「契約書」についてシリーズで解説していきます。
- 第1回:生成AIで作成された契約書のリスクと法的基礎
- 第2回:契約書の基本構成と押印、印紙の取り扱いについて
- 第3回:契約書の読み方、どこをチェックすべきか
- 第4回:事例集① 土地建物売買契約書
今回はその第一回として、「生成AIによる契約書作成の落とし穴」と「契約の法的基礎」を解説します。
AIで契約書を作る時代。でも、それで大丈夫?
近年、生成AIを使って契約書を作成する方が増えてきました。
たしかにAIは便利ですが、次のようなリスクがあることをご存じでしょうか?
- 当事者の真意や事情が反映されていない
- 目的に沿わない、ズレた内容の契約になっている
- 関連法令が反映されていない、または誤って解釈されている
このような契約書は、トラブルの火種となり、後から修正や紛争対応が必要になることも。
だからこそ、契約書の作成は法律の専門家に依頼することを強くお勧めします。
契約は「自由」だけど「何でもアリ」ではない
契約の根本にある考え方は、「契約自由の原則」です。
民法第521条では次のように定められています。
(第521条)
1 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。
2 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に設定することができる。
つまり、誰とでも、どんな内容でも、自由に契約できるのが原則です。
ただし、「公序良俗」に反する契約は無効とされます。
例えば、
- 不倫契約
- 女性の定年を男性より早く定める就業規則
- 有害商品の取引契約
などはすべて無効です。
書面がなくても契約は成立する?
続く民法第522条では、契約の成立について次のように規定されています。
(第522条)
1 契約は、契約内容を示した申込みに対し、相手方が承諾したときに成立する。
2 原則として、契約の成立には書面その他の方式は必要ない。
つまり、口頭でも契約は成立します。
しかし、これは法律上の原則であって、ビジネスの現場では書面が不可欠です。
なぜなら、後に証拠が残らず、トラブルになりやすいためです。
特に以下のような契約は「方式(書面など)」が求められます。
- 保証契約(書面が必要)
- 贈与契約の一部(書面がないと取消し可)
また、民法第527条では、承諾の通知がなくても契約が成立する場合があると定めています。
(第527条)
申込者の意思表示または取引上の慣習により、承諾の通知が不要な場合、承諾とみなせる事実があれば契約は成立する。
例えば、ホテルの予約。申し込みに対して、部屋が準備されれば、それは承諾とみなされ契約が成立します。
注意すべき「強行規定」や「商法」との関係
契約は自由に内容を決められると言っても、**変更できない規定=「強行規定」もあります。
たとえば:
- 時効に関する規定を勝手に変える
- 時効を放棄する条項を盛り込む
これらは無効とされます。契約書に書いたとしても、法的な効力はありません。
さらに、契約の当事者が「商人」(法人や個人事業主など)の場合は、商法が民法に優先される場面もあります。
商法第509条の例:
1項:商人が通常の取引相手から営業に関する契約の申込みを受けたときは、遅滞なく諾否を通知しなければならない。
2項:通知を怠った場合は、その申込みを承諾したとみなされる。
たとえば:
- 基本契約を締結済の企業同士が取引
- ある会社が個別契約を申し込み
- 相手会社が何の返答もせず放置
この場合、「承諾したもの」として契約が成立したことになります。
契約書は「誰が・何を・どう合意したか」の証拠
契約そのものは口頭でも成立しますが、契約書は証拠力の高い法的文書です。
特にビジネスでは、当事者双方が決裁権限者として署名・押印した書面が望ましいとされます。
そしてその契約書には、法的な知識、条文の解釈、商慣習の理解が欠かせません。
AIでは対応しきれない、「人の意図」や「業界特有の事情」を反映するには、専門家のサポートが必要です。
次回予告:契約書に必要な「形式」とは?
次回のブログでは、「契約書に必要な形式や条項構成、押印の扱い」などについて詳しく解説します。
形式が整っていなければ、せっかくの契約書も法的に無効になる可能性があります。
ぜひ引き続きご覧ください。
亀田行政書士事務所では、契約書の作成・チェック・トラブル対応まで幅広くサポートしています。
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