
✅ はじめに
「常勤役員等(経管)」の選任や経験要件は、建設業許可申請において極めて重要な論点です。
今回は、執行役員や委員会設置会社の取締役、補佐者の在り方など、より高度なケースをQ&A形式で詳しく解説します。
💬 Q&A|常勤役員等(経管)に関する詳細解説
Q1. 執行役員は常勤役員等(経管)になれますか?
A.
執行役員は、法令上で権限や責任が定められていない地位にあるため、従来は常勤役員等(経管)にはなれませんでした。しかし、平成28年6月の改正により、執行役員でも常勤役員等(経管)として認められるようになりました。
ただし、この場合は取締役等に準ずる地位にあり、取締役会議事録などで執行役員としての選任・重任および建設業の経営業務の執行に関する具体的な権限委譲が確認できる必要があります。また、取締役会設置会社であることが前提です。
さらに、過去の経営経験証明に執行役員の経験を使う際には、権限委譲の有無等により、建設業法施行規則第7条第1号イ(2)に該当するか否かが変わるため、詳細資料を持参の上、窓口で相談する必要があります。
Q2. 施工規則第7条第1号ロ該当で常勤役員等(経管)となった後、5年後にイ該当の常勤役員等(経管)に移行できますか?
A.
はい、移行できます。施工規則第7条第1号ロ該当の認定時に既に建設業に関する2年以上の経営経験が証明されていますので、イ該当へ移行するには、追加で3年の経験が必要です。
なお、ロ該当からイ該当へ変更する際は、補佐者を削除する変更届が必要ですので、併せて提出が必要です。
Q3. 部長職のまま常勤役員等(経管)として申請(交代)することは可能ですか?
A.
施工規則第7条第1号イ(3)の「経営補助経験」とは、部長職などの過去の経歴を証明する際に用います。
申請時点で常勤役員等(経管)になるには、法人の場合は取締役または執行役員に就任している必要があります。部長職のままでは申請できません。
Q4. 施工規則第7条第1号ロ(2)に基づき、執行役員として取締役から権限が委譲されていたことが確認できる場合、建設業を所管していなくても常勤役員等(経管)の経験として認められますか?
A.
認められます。ただし、建設業に関する2年以上の経験については、実際に建設業の経営に従事していた証拠が必要です。
具体的には、取締役会議事録や工事請負契約書などで、建設業の経営権限が委譲されていたこと、および現実に業務を執行していたことを証明する必要があります。
Q5. ロ該当の常勤役員等(経管)としての経験は、イ該当の経営経験と同一に扱われますか?
A.
はい、ロ該当の常勤役員等(経管)として建設業の経営に従事した経験は、施工規則第7条第1号イにおける経営経験と同一に取り扱われます。
Q6. ロ該当の常勤役員等(経管)がイ該当へ変更できるタイミングはいつですか?また、変更届は必要ですか?
A.
ロ該当の常勤役員等(経管)として就任後、最長で3年間経過すればイ該当の常勤役員等(経管)として変更できます。
変更の際には、補佐者を削除するための変更届が必要です。
Q7. 元ロ該当の常勤役員等(経管)が別会社で新規申請する場合、当時の建設業許可申請書等の写しを提出すれば経験証明資料として使えますか?
A.
元ロ該当の常勤役員等(経管)が、そのまま別会社でロ該当の常勤役員等(経管)になることはできません。別会社における直接補佐者の配置が必要です。
ただし、ロ該当の常勤役員等(経管)としての継続期間を含め、イ該当の常勤役員等(経管)であることが証明できれば、イ該当として申請することが可能です。
Q8. 常勤役員等(経管)に準ずる地位で経営業務を補佐した経験とは、どのようなものですか?
A.
建設工事に必要な資金の調達、技術者の配置、下請け業者との契約締結などの経営業務において、法人では役員に次ぐ職制上の地位、個人事業では事業主に次ぐ職制上の地位にある者として従事した経験を指します。
Q9. 税法上の専従者について、確定申告書の専従者控除欄に記載できない場合、他にどのような確認資料がありますか?
A.
専従者控除欄に記載できなくても、青色(白色)決算書の給与支払欄に専従者の氏名が記載されていれば、確認資料として認められます。
Q10. 委員会設置会社では、常勤役員等(経管)になれるのは執行役のみですか?また、その経験期間の取り扱いはどうなりますか?
A.
委員会設置会社では、執行役および取締役のどちらも常勤役員等(経管)になれます。また、どちらもその在職期間を常勤役員等(経管)の経験期間としてカウントできます。
Q11. 委員会設置会社の社外取締役を常勤役員等(経管)に選任できますか?
A.
社外取締役は常勤性が確保できないため、常勤役員等(経管)としては選任できません。ただし、経験期間としてはカウント可能です。
Q12. 委員会設置会社の監査委員会に属する取締役を常勤役員等(経管)に選任できますか?
A.
監査委員会に属する取締役は、経営に直接関与できない立場であるため、常勤役員等(経管)として選任することは不適当です。また、その経験期間についてもカウントできません。
✅ まとめ
執行役員や委員会設置会社に関わるケースは、複雑かつ細かい確認が必要です。誤った認識のまま申請を進めると、許可が下りないだけでなく、将来的な経営計画にも影響が出ます。
正確な知識と確実な証明資料の準備が求められますので、疑問点は専門家へ相談することをおすすめします。
🔜 次回予告
次回は「【第12回】補佐者編」として、補佐者要件や実務での取り扱いを詳しく解説します。
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